「ヒステリック上司」になっていないか

第6回 「べき論の境界線」を安定させるべき

前回は、「幅が広く、尺度のない」怒りの感情に、自ら数値化することで客観視し、強く怒りすぎない対処術を説明した。今回は、私たちの持つ「強いこだわり、思い込み」が怒りの感情に変化しやすいことをいくつかの事例を交えながら紹介し、アンガーマネジメントで改善可能となることを解説する。

我が子の入学式を優先させた教師

2014年4月、埼玉の県立高校で50代の女性教諭が、我が子の高校の入学式に出席するため、担任を務める1年生の入学式を欠席したと報道された。県教育局によると、同県内の県立高校では、ほかに男女3人の担任教諭が子息の入学式出席を理由に休暇届を提出し、勤務先の入学式を欠席したとのことである。

 関係者によると、入学式の担任紹介の中で校長が女性教諭の欠席理由を説明。女性教諭は「入学式という大切な日に担任として皆さんに会うことができないことをおわびします」という文章を事前に作成し、当日、別の教諭が生徒らに配ったそうだ。

 この問題は、ネット上や様々なメディアで議論が沸騰した。「先生の職業倫理に反する」「いや教師にもワークライフバランスを認めて当然だ」、といったように賛否が分かれ、著名人、一般市民を問わず、持論を熱く強調した。

 ネットユーザーの意見を募るサイトの意識調査のページには、「担任が『息子の入学式』で欠席することをどう思う?」という設問までが登場した。35万票近い投票があり、結果は「問題だと思わない」が48%で、「問題だと思う」44%と、擁護派と批判派がほぼ拮抗した。

 アンガーマネジメントでは、私たちを怒らせる原因の一つに「べき論」を挙げている。「べき論」とは、理想を実現しなければならないことを強く主張する論調のことで、「そうすべき」「こうあるべき」という論調から「べき論」と呼ばれている。先述した意識調査の擁護派には「我が子の入学式に出席すべき」という「べき論」が少なからずあり、批判派には「教え子の入学式に出席すべき」という強い「べき論」があったのだろう。読者の皆さんは、どう思われただろう?

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