ボッシュ「2輪車運転支援」のとてつもない実力 前走車追従、衝突予知警報、死角検知を備える

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一度だけだが、公道でも事故を経験した。しかし、自車速度が低かったことに加え、胸部と脊椎、そして腕、膝、脛を守るプロテクターを装着していたことから、地面に放り出されたにも関わらず奇跡的に打撲症状だけで済んでいる。

こうした経験から、2輪車に乗る際はどんなに距離が短くても、また原付スクーターであってもプロテクターの装着は欠かさない。

ただ、こうしたプロテクターの類いは遭遇した事故の被害を軽減するものであって、事故の可能性を低くするものではない。よって常々、4輪車のような自車周囲をセンシングし、危険を知らせてくれる技術が2輪車にも欲しいと痛感していた。

ボッシュのARASは、車体前後にひとつずつ装着されたミリ波レーダー(77GHz)により、自車前方の車両や、後側方から迫り来る他車を認識してライダーにその存在を知らせてくれる。ミラーに映らない死角に入った車両もミリ波レーダーは認識するので、目視を併用すれば安全性はグッと高まる。

追従走行で身体的な疲労度軽減

また、車体前部のミリ波レーダーは前走車を認識していることから、エンジンコントロールユニットやモーターサイクル用スタビリティコントロールユニットを連動させることで、前走車への追従走行も行える。

車体前部に搭載されたミリ波レーダーを使って前走車を追従する(筆者撮影)

この追従走行は、すでに4輪車の世界では普及が進んでいる「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」と呼ばれる運転支援技術で、高速道路や自動車専用道路を使った長距離移動時の身体的疲労度の軽減が期待できる。

ミリ波レーダーから得られた情報は、大型のカラー液晶メーターで常にその状況がライダーに伝えられる。本稿で掲載している画像は、ARASによる情報表示のボッシュによる一例だが、こうした情報伝達端末は「HMI/ヒューマンマシンインタフェース」と呼ばれ、人と機械が協調して安全な運転環境を得るために必要不可欠な存在だ。

またHMIの「I」は、相互作用を意味する“インタラクション”と捉えられる事も多く、車体のバランスを取りながら自車周囲の交通環境にも目を配る必要がある2輪車の場合は、4輪車以上にシンプルな表示でわかりやすく、強いメッセージ性が求められている。

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