しきたりに頼らずに、生前に自ら意思表示を 『葬式は、要らない』を書いた島田裕巳氏に聞く

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--東京での変化は大きい。

東京はよそ者の集まり。現在、時代はちょうど高度成長期に東京に出てきた世代が亡くなっている。ここしばらく、日本人の死亡者数は増え続ける。

その世代は都会から、もう田舎には戻らない。かつ都会で人間関係が密ではない。そういう人がどんどん増え、それだけ、東京では葬式離れの方向に激しく動く。

--葬祭業が機敏に動いているといわれます。

高齢者イコール参列者なしということで、業者も勧めにくい。産業としての葬祭業というのは時代の変化への対応がつくづく早いと思う。

自分たちに入ってくるおカネが少なくなるに決まっている、家族葬でも直葬でも積極的に取り入れる。そこは割り切りが結構早くて、あまり躊躇がない。

普通の産業なら対象がこんなに変わろうとしたら抵抗すると思うが、競争が厳しいのか、すぐに時流に乗ろうとする。それが加速している要因でもある。

--ここ2~3年の変化とも。

亡くなる世代の背景が変わってきた。不況続きという経済関係もある。いろんなことの積み重ねの結果ではないか。10年前、少なくとも20年前とは状況が一変した。

都会に出てきたとき故郷に錦を飾ることを含めて、死んだらふるさとの寺にという感覚があった。しかし都会に定着してしまうと「お墓参り教」になる。

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