日米は本質的な問題を今こそ誠実に話し合え

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日米は本質的な問題を今こそ誠実に話し合え

先頃来日したカート・キャンベル米国務次官補は「日米が普天間問題をどう決着させるのか、見当がつかない」と率直に述べた。

だが、これは有益な論争だ。日米同盟はこのプロセスによってさらに強化されるだろう。両国は互いを必要としている。普天間をめぐる論争は、両国間の友好関係を反映した活発な意見交換を示唆するものだ。

とはいえ、問題を矮小にとらえてはならない。最終的な解決には細かな交渉が必要だ。鳩山由紀夫内閣が従来の辺野古移設案を承認するとは思えない。5月までに解決策を見いだせる可能性はさらに低い。いずれにせよ、鳩山内閣の提案については、米国政府との協議が必要となる。それだけでなく環境影響調査や地元住民との話し合いも必要だ。日米両国は最良の解決策を模索しており、予想よりずっと長い期間にわたって宙ぶらりんの状態が続くだろう。

普天間基地を使用している海兵隊を嘉手納に移転させるという手も考えられる。普天間基地が改修中のため、公然の秘密だが、海兵隊の一部はすでに嘉手納で活動している。

鳩山首相は真意を明らかに

ここで問題の要点を整理したい。

民主党との協力--普天間問題は起こるべくして起こった。自民党は50年以上も日本を支配してきたが、過去15年以上、積極的に解決しようとしなかった。昨年、自民党政権が崩壊し、民主党が政権の座に就いたが、自民党の長年の誤りを民主党が直ちに修正できると期待するのは無理がある。だが、オバマ政権も、自民党の政権復帰を期待するより、民主党との協議を進めつつある。

民主党の成熟の必要性--鳩山首相は戦略的な展望を明らかにしなければならない。首相は今も「駐留なき日米安保」に固執しているのだろうか。鳩山氏は賢明な人物である。だが、日米同盟に対する鳩山氏の真意がどこにあるのか。鳩山氏はこの点を明らかにする義務がある。

民主党への米国の理解--目下、米国は民主党を「分断して攻略」しようとしている。岡田克也外務大臣と北澤俊美防衛大臣をひいきとし、鳩山首相と“闇将軍”小沢一郎幹事長を対極に置く構図だ。岡田、北澤両氏は機密の状況説明を受けた際、辺野古移転案の重要性を「学んだ」と米国政府内でささやかれている。

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