快活な老後生活のために知っておくとよい基準 健康でいられる期間をきちんと把握する必要も

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この計算は、もともとは都道府県による健康格差を縮小することを目的として、保健医療に関する取り組みの計画や評価のために行われた経緯があります。したがって、同様の条件で計算し、諸外国や都道府県、時系列で比較するのに適していると思われます。

個人の生涯設計に応用するとすれば、“健康余命”と“健康寿命ー年齢”には大きな差があり、特に高齢期においては“健康余命”で考えるのが適当だということではないでしょうか。

適切に健康増進に向けた生活を送ることが大切

平均寿命を目安に老後の生活のための資産形成をしても、実際の余命はもっと長いことが多いため、不十分である可能性がありますし、健康でいられる期間を見誤って悲観的になりすぎるはもったいないように感じます。

“不健康な期間”について過剰な不安や拒絶感をもつのではなく、“健康余命”の長さを過少評価することなく、計算の前提を理解し、適切に健康増進に向けた生活を送ることや資産の形成を含めた生涯設計を進めることが大切ではないでしょうか。

村松 容子 ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

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むらまつ ようこ / Yoko Muramatsu

死亡・疾病発生リスクについて、統計的にその発生状況を算定すること、および、消費者調査を通じて消費者がどのようにリスクに対応するのかを研究。国が公表している疾病統計以外にレセプトデータ、健診データ、健康に関する消費者の意識調査などを使ってさまざまな視点から分析している。ニッセイ基礎研究所の著者ページはこちら

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