「宝島社」絶好調の理由、女性誌付録だけじゃない!

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 減っているとはいえ、まだ全国に1万5000店以上の書店がある。出版流通を使えば4万店超のコンビニへも配本できる。音楽ショップの数とはケタが違う。同様に宝島が発売したDVD『トムとジェリー』は累計100万部を突破した。

取次大手、日本出販販売事業戦略部の村上雅史氏は「出版社が1000円前後のDVDを作れば、商品として将来性は十分ある」と話す。まさにそこが宝島の狙い目なのだ。

蓮見社長は話す。「出版流通は最も効率がいい日本最大の流通組織。出版社が出版流通を有効活用すれば、まだまだ出版社は成長できる」。

“戦略本部”のマーケティング会議は月6億円の軍資金(営業経費)を握る。「宣伝費を投入しても返品率を抑えるほうが利益率が高い」(蓮見社長)との読みがある。発行部数に応じた宣伝プロモーションをかけ、雑誌には質の高い付録を付ける。

流通関係者を味方につけ、新たな商品を出版流通に乗せる。そこに奇策はない。旧満州生まれの反骨経営者は経営の王道を歩んでいる。

(田北浩章 撮影:尾形文繁、吉野純治、谷川真紀子 =週刊東洋経済2010年2月27日号)

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