テキサス新幹線、実現の鍵は「バイデン大統領」 列車通勤続け、あだ名は「アムトラック・ジョー」

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鉄道についても自身の政策で触れており、「200年前の鉄道網拡張がアメリカの産業を発展させた。現在のアメリカは鉄道の安全性や速度で欧州や中国の後塵を拝している。アメリカが旅客と貨物の両面において世界で最もクリーンで、安全で、速度の速い鉄道システムを持てるような計画を構築する」としている。さらに旅客鉄道に関しては、カリフォルニア高速鉄道計画の完遂やワシントンDC―ニューヨーク間の鉄道高速化を行いたいとしている。

テキサス高速鉄道には具体的な言及をしていないが、バイデン氏が副大統領だったバラク・オバマ政権下では、リーマンショック後の経済対策として、連邦政府が有望な高速鉄道計画に総額80億ドル(約8400億円)の支援を行う計画を策定し、カリフォルニア高速鉄道に35億ドル(約3675億円)の補助金を出した。

バイデン氏は鉄道に関心

バイデン氏は上院議員時代、毎日地元デラウェア州から往復4時間かけてアムトラックの列車に乗って議会のあるワシントンDCに通っており、ワシントンの人々はバイデン氏に、「アムトラック・ジョー」というニックネームを付けていた。

ワシントンDC・ユニオン駅に停車するアムトラックの列車(写真:jimfeng/iStock)

バイデン氏が列車通勤をしていた理由は、上院議員就任直後に自動車事故で妻と娘を亡くし、負傷した幼い2人の息子のために生活拠点をワシントンに移さず、地元にとどまったからだ。バイデン氏は鉄道に理解のある政治家といってよい。通勤に利用し続けた地元ウィルミントンの駅は、2011年に「バイデン駅」と命名された。

9月29日(現地時間)に開かれた大統領選の初のテレビ討論会後、バイデン氏は列車でオハイオ州とペンシルベニア州を巡るキャンペーンに出発。報道陣に対し「列車に乗るのが好き」「(鉄道は)好きな交通手段だ」と答えている。

一方のトランプ大統領は、カリフォルニア高速鉄道の計画縮小に対して、連邦政府が支援した補助金の返還を迫っている。この点から見て、高速鉄道にはあまり関心がなさそうだ。逆に、「バイデン大統領」が誕生し、有望な高速鉄道計画に補助金を出すことになれば、テキサス高速鉄道には願ってもない朗報となるだろう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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