新・お昼の顔?「徹子の部屋」成功のナゼ 視聴率2冠王、テレ朝の知られざる戦略性

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2013年の年間視聴率争いで、ゴールデン帯とプライム帯を制し、2冠王となるなど、テレビ朝日の躍進は、テレビ業界でも注目されています。今月15日に発表された在京民放キー局5社の2014年3月期決算で、テレビ朝日ホールディングス(HD)は高視聴率を背景に売上高と純利益が過去最高となりました。

その理由のひとつが、編成戦略にあるのではと筆者は見ています。筆者のようにアメリカの放送局から学んだのか、それとも、現場で試行錯誤をした末にたどり着いたのか、取材をしていないので不明ですが、とにかく、テレビ朝日の編成には「戦略」を感じます。これは日本のテレビ局としては珍しいことです。

筆者は、10年前、アメリカに本社を持つテレビチャンネルの編成を担当していましたが、そこで、本社の人たちから、徹底的に「戦略」を持って、テレビ番組を編成することをたたき込まれました。アメリカ3大ネットワークのひとつ、ABC放送のトップに「編成とは何か」と聞いたときも、「編成とは戦略だ」と言われました。テレビ朝日を見ていると、それを感じるのです。

番組宣伝に力を入れる米国、軽視する日本

「徹子の部屋」のビジュアル戦略もそうですが、テレビ朝日は、番組宣伝にも力を入れています。

日本のテレビ局で、番組宣伝は新人ディレクターが作っていたり外部発注したりして、そんなに重視されませんが、アメリカの放送局では、番組制作する部門と同じぐらい、番組宣伝部門が力を持っていました。これは驚きでした。「刺身のつま」だと思っていたものが、「刺身」だったのです。

番組宣伝部門では、ビジュアルからメッセージまで、専門のスタッフがものすごい時間と労力をかけて作っていました。アメリカでテレビを見ていると、無料チャンネルでも有料チャンネルでもやたらと番組宣伝が流れます。特に次の番組の告知は視聴者を離さないために重要で、「Coming Up Next……」を効果的な時間帯に流すのと流さないのとでは、次の番組の視聴率が大きく変わると教えられました。

テレビ朝日は、「シンデレラになった徹子さん」のような番組宣伝を制作して流すだけではなく、生放送で(あるいは生放送っぽく)前の番組の出演者が次の番組につなぎ、チャンネル全体としての一体感を出そうとしています。

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