「大渋滞」復活!高速道路の混雑は今後も続くか シルバーウィークは日本各地に人が押し寄せた

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こうした中、現在行われている「GoToトラベルキャンペーン」でも、シルバーウィークの前日にあたる9月18日から、高速道路での通行もその対象となるプランがスタートした。

GoToトラベルは、原則として旅行会社が扱う交通機関や宿泊の商品、あるいは宿泊施設の単独利用が対象となるキャンペーンだが、今回、「STAYNAVI」というサイト経由で、宿泊施設とGoToトラベルの対象となる高速道路の周遊パスの双方を申し込むと、周遊パスの代金が一定の上限はあるもののおおむね宿泊施設と同様35%割引される。

周遊パスは、あるエリアの高速道路に数日間乗り放題となるもので、NEXCO3社と阪神高速の4社が車のプランを28コース、バイクのツーリングに供するプランを19コース提供している。例えば四国の高速道路に乗り放題の「四国乗り放題プラン」では普通車2日間用で6300円、3日間用で6900円となっており、GoToを利用すると35%割り引かれるため、それぞれ4095円、4485円となる。

GoToの割引がなくても使い方によっては割安なプランなので、2日間四国の高速道を4000円程度で乗り放題になるのであれば、格安と言ってもよいだろう。ただし、「STAYNAVI」には会員登録が必要であるし、宿泊施設もGoTo高速道路周遊パス対象となっている施設に限定されるなど、利用には一定の制限やいくつかの手順が必要となっている。

例年以上の混雑になる可能性も

さらにこの制度に加えて10月からは東京発着のGoToトラベルキャンペーンも始まっており、これまでレジャーや帰省などの遠出を我慢していた人の高速道路の利用が促進され、例年どおりの、あるいは例年以上の混雑が生まれる可能性が高い。

現在、高速路線バスの一部運休や団体客が利用する観光バスの運行が以前よりかなり少なく、路上のバスの姿が以前よりもかなり少ない印象を受けるが、これも10月以降かなり盛り返してくると思われる。利用者にとっては高速道路の渋滞は迷惑このうえないが、ガラガラの高速道路の映像をここ数カ月ニュースで見慣れた目には、赤いテールランプが断続する渋滞の映像は、日本がコロナ以前の状態に近づいた象徴のようにも思える。

とはいえ、移動の自由をいち早く解禁したヨーロッパ、とくにイギリス、フランス、スペインなどでは感染の再拡大が深刻化している。日本も今後秋から冬を迎えて状況が悪化することも予想される。高速道路の渋滞状況は、人々の移動への希望や不安を如実に表す1つのバロメーターとして、これからも週末のニュースをにぎわしそうである。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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