心が疲れてしまった時に自我を少し捨てるコツ 「柔らかな心」を持つことが、養生には大切だ

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先生の言う「心を虚にして心身ともに柔らかくする」とは、つまり「自我を捨て去る」ということではないでしょうか。中国・明代の洪自誠による人生指南の書『菜根譚』にこう書かれています。

世間の人は、ただ自我というものがほんとうにあるということを大そう大事にしている。だから、自我の対象となるいろいろな嗜好(しこう)や煩悩が多くなってくる。古人の詩にも、『本来自我などというものがあるということはわからない、それなのにどうしてものが貴いなどということを知ることができようか』と言っている。また、『この肉身も本来我ではないということがわかれば、煩悩などもどうしてこの身を侵すことができようか』と言っている。これはほんとうに真実を看破した言葉である
(中村璋八・石川力山訳注、講談社学術文庫)

「まあ、いいか」こそ、柔らかい心の表れ

ここで言われているように、すっかり自我を捨て去ることは難しいかもしれません。でも、歳を重ねると、大抵のことは「まあ、いいか」と思えるようになります。この「まあ、いいか」こそ、柔らかい心の表れではないでしょうか。心が硬くなっていると感じたら「まあ、いいか」と思ってみてください。

<週刊朝日/2020年10月2日号>

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