トヨタにのしかかるリコール決断の代償

トヨタにのしかかるリコール決断の代償

「当区では職員が自ら運転している。トヨタさんが調査・確認されるまでは、『運転を控えたらどうか』ということになった」

横浜市港北区の川越寛総務課長はこう説明する。港北区では1月にトヨタ自動車の「プリウス・プラグイン・ハイブリッド」を約500万円で購入したばかり。それがトヨタのリコール(回収・無償修理)で、早くも運転の“自粛”を決めた。ほかに新潟市や岡山市などプリウス使用を見合わせた自治体が現れている。

今月9日、トヨタはブレーキが効きにくいなどの不具合を理由に、新型プリウスを含め、ハイブリッド4車種のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。対象は国内22万3000台で、海外も含めれば約40万台。対策として国内の販売店では10日から、原因であるABS(アンチロック・ブレーキング・システム)の制御プログラムを修正する作業が始まった。新規受注は6月下旬まで納車待ちだが、豊田章男社長によれば、「キャンセルは一部あると聞いている」という。

昨年9月にはフロアマット、今年1月にはアクセルペダルで、次々と不具合が発覚したトヨタ。両者で対象は延べ1000万台を超えており、それに比べれば今回のリコールは数が小さい。とはいえプリウスは、「ハイブリッドのトヨタ」の代名詞だ。前原誠司国交相も、「いわゆる外交問題が起きないように、それぞれの国が考えなければならない」と、トヨタにくぎを刺した。

なぜプリウスのブレーキ不具合は起きたのか。実験では、時速20キロメートルの低速で凍結路面を走行すると、ABSが作動する結果、油圧ブレーキの立ち上がりが遅れ、油圧も不足する。そのため停止距離が旧プリウスより0・7メートル長くなるという。ブレーキを強く踏めば目標位置で止まるが、通常の踏み方ではブレーキが弱くなると感じ、これが「違和感の問題」(横山祐行常務役員)との表現になった。

結局、事象としての原因は判明したが、それをもたらしたトヨタの根本的な背景が何か、いまだ不明だ。

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