減配アコーディアに詰め寄った「物言う株主」 村上ファンドの元課長が決算説明会で異例の質問

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2013年度は、1~2月に降った大雪の影響もあり、売上高が919億円(前期比1.2%増)、本業の儲けを示す営業利益が122億円(同7.9%減)となり、期初時点の計画を大きく下回った。2014年度も、期初計画は売上高681億円(同26.0%減)、営業利益87億円(同29.0%減)と冴えない。

8月からゴルフ場90コースを譲渡するとの前提で、これまで全額計上していたゴルフ場運営収入がSPCに帰属し、アコーディアにはSPCからの運営受託収益しか入らなくなる。ビジネス・トラストを組成・上場させるための各種費用もかさむ。新規取得したゴルフ場を高値で売却できるようなサイクルが確立すれば、中期的に利益は向上するが、会社側が策定中の中期経営計画の詳細が開示されないかぎり、株主には判断が難しい。

遠のくレノの「出口戦略」

大幅減配や目先の業績後退、そして1400円を大きく下回る株価が続く中では、仮に会社提案が株主総会で承認され、自己株公開買い付けが実施された場合、レノのみならず、一般投資家も含めて応募が殺到しかねない。

買い付け総額の下限となる450億円規模では発行済み株式数の31%程度しか吸収できず、按分比例での買い付けになってしまう。そうなれば、出口戦略を探るレノは27.81%の全保有株を売却しきれなくなる。

となると、アコーディア株を中長期保有することになるかもしれないレノにとって、業績面からの株価上昇が不透明な分、高額配当への注目が高まることは当然だろう。もっとも、会社側が配当性向を再び引き上げるなどの方針を示せば、足元の株価が上昇して、自己株買い付け予定価格の1400円を上回る可能性もある。

決算説明会で代表の三浦氏が質疑応答に立った意図について、レノ側は相変わらず、「取材には一切お答えできない」としている。だが、配当性向の減額など株主還元政策について、会社側に再考を促す効果は十分にありそうだ。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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