グリーとディー・エヌ・エーを分析する 群雄割拠のソーシャルゲーム業界の先行きは?

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DeNAも業績を落としているが、安全性には問題ない

DeNAも直近は業績を落としているが、大人気企業の一角(左が取締役ファウンダーの南場智子氏、右はサイバーエージェントの藤田晋社長 撮影:今井康一)

DeNAの財務内容も、グリーとほぼ同様の傾向が見られます。平成26年3月期 第3四半期決算(2013年4〜12月)を分析してみましょう(なお、最新の本決算はこちら)。同社の財務諸表は米国方式を採用していますので、少し形式が異なります。

損益計算書(9ページ)から見ていきますと、グリーほどではありませんが、DeNAも売り上げを落としています。売上高にあたる売上収益が、前年同期の1502億円から、今期は1415億円まで5.8%減少しています。そのうえ、売上原価と販管費がそれぞれ微増したため、営業利益は586億円から435億円まで25.8%減となりました。

ただ、こちらも売上高営業利益率が30.7%と高水準ですから、以前ほどの勢いはないとはいえ、高収益企業であることは間違いありません。

貸借対照表(7~8ページ)を見ますと、資産の部にある「現金及び預金同等物」は577億円。これは月商の3.7カ月分にあたりますから、グリーと同様、潤沢に現預金を持っているといえます。自己資本比率も73.3%と超高水準ですから、安全性にも全く問題はありません。

ソーシャルゲームは新規参入多く、競争が激しい

2社の財務内容をさらに詳しく分析しますと、この業界ならではの大きな特徴が見られます。それぞれ、貸借対照表の「純資産の部(DeNAは資本)」に注目してください。

グリーの純資産合計は1064億円。そのうち大部分を占めているのは、利益の蓄積である利益剰余金1014億円です。DeNAも、資本合計1384億円のうち、利益剰余金が1473億円ですから、やはり資本のほとんどが利益剰余金なのです。

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