(第28回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第十五話『筆記試験』

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(2)定番の記事問題対策
 この対策は「過去問」を解いていくことに尽きる。定番があるがゆえに、出題される項目も限定されてくる。法律用語、経済用語を中心に覚えておくようにしたい。またIAEA、CTBT、NPTといった原子力関連の機関、取り決めなどの略語は要注意だ。このほかにも国連各機関の略称(略語)を問うケースも相変わらず多い。

(3)一般教養問題対策
 筆記試験において、一般教養問題とは、すなわち範囲がないことを知ろう。範囲がないとすればどうしたら良いか。まずは数ある問題群のなかの一つであると認識することだ。確率統計の問題や化学系の問題が出たとしても、それらは50問あるいは100問中の1問ぐらいといえよう。解けなくても心配ない。ましてや、大学受験科目でなかったものを今から勉強しても、時間はかかるし効率が悪い。自分の得意科目の復習をして、ポイントを押さえるような対策を立てるほうが、はるかに効率が良い。

(4)国語系の問題対策
 漢字は勉強すればするほど点数に結び付くといわれている。だが、はたしてそうだろうか。やみくもに「読み」と「書き」をやったとしても、その範囲の広さに驚くばかりだろう。そこで、漢字対策においては範囲が限定されていて、短時間の勉強で高い効率の上げられる分野から手をつけることをお勧めしたい。その進度の度合いを見ながら、次の分野の勉強に力を注ぐべきだろう。たとえば「四字熟語」についてだ。新聞ダイジェスト社の調査によれば、四字熟語の出題回数が最も多いのが、「朝三暮四」となっている。次が、「五里霧中」、「七転八倒」と続く。こうしたデータに基づいて、知識を身に付けていくと飛躍的に実力は伸びるはずだ。ちなみに「朝三暮四」の意味は「目先の違いにこだわり、結果が同じになるのを知らないこと。口先で人をだますこと」という解説もついているのが特徴である。ぜひ利用を。
 また「慣用句」についても学びやすく覚えやすい言葉があることを理解してほしい。たとえば「怒り心頭に発した」が正解であり「怒り心頭に達した」は誤りであることなどだ。こうした基礎をしっかりと身に付けたうえで漢字の実力をアップさせていってもらいたい。
 試験問題のほとんどはマークシートとなっている。その意味では「読み」を覚えるほうが、「書き」を覚えるより、はるかに楽ということになる。ただし、論作文試験では、この論理は通用しない。そこで実力に不安のある人は、“書いて覚え、そのうえで読みをマスターする”といったオーソドックスな手法を心掛けてみることだ。

(5)英語系の問題対策
 皆さんの大学入試のことを思い出してもらいたい。それぞれの大学入試の合格ラインはどのくらいだっただろうか。全体数の60~65%くらいを取れば合格したはずだ。100%を取る必要はない。この60~65%という数字は“普通の人”が解ける問題も確実に解けば、達成可能な範疇ではないか。たとえば60問の出題があったとすれば、36問を正解すれば良いということになる。となれば「解ける問題(基本問題)を間違いなく解いていくこと」が筆記試験対策の要であると断言できるのではないか。試験本番でわからない問題があっても「この問題は私には解けない、ましてや受験者の大半を占めているであろう記念受験の人々には解けるはずがない」と考えることだ。難問が解けなくても、大勢には影響はないという心の余裕を持つことを勧めたい。

菊地信一(きくち・しんいち)
昭和27年仙台市生まれ。仙台一高、早稲田大学商学部卒業後、株式会社文化放送ブレーンを経て、平成2年より「現代職業工房」を主宰。この間一貫して人材採用をテーマに、採用戦略・計画に関するコンサルティングを行ってきた。企業と学生、両者を知り尽くした公正な立場に基づく本音のアドバイスは、企業セミナー、各種講演会でも好評を博している。『履歴書職務経歴書づくりの達人』(中経出版)、『就職活動のすべてがわかる本』(同文館出版)、『日経就職百科』(日経事業出版社)、『自己分析からはじめる就職活動 2010年度版』(日本実業出版社)、『キャリアデザイン入門』(光生館)など、就職関連の著書は45冊を数える。
現在、日本工業大学教授、北星学園大学非常勤講師、東北学院大学非常勤講師、コズモワールド顧問、文化放送キャリアパートナーズ学生支援部顧問キャリアアドバイザー、日本ジャーナリストセンター主任講師を務めるほか、講演・講義を行ってきた大学は85校にのぼる。
佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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