(第11回)数学大国江戸の日本~算聖関孝和~(その2)

●ミリオンセラー『塵劫記』の魅力

前回紹介した江戸の大ベストセラー『塵劫記』は江戸の庶民の数学の大衆化に大いに貢献しました。室町時代には掛け算すらできない人が大多数であったのが、この『塵劫記』の普及により江戸時代の中頃にはそろばんを使い、九九を覚え、割り算もでき、大きい数から小さい数まで自由に使いこなす一般の人々が大勢あらわれてきました。中には平方根、立方根、高次方程式を解く庶民までがいたのです。数学の問題を解く魅力をこれほどまでに庶民に紹介し成功したテキストは他に類を見ません。『塵劫記』により日本人の数学センスは劇的に向上していったのです。数の数え方、そろばんの使い方、掛け算と割り算の九九に始まる数処理のリテラシーから始まり、「絹盗人算」や「ねずみ算」など人々を楽しませる問題を豊富にとりいれたのでした。

基数

(原文訳)
一十百千万(まん、千が10あることをいう)
億(おく、十万のことをいう)
兆(ちょう、十億のことをいう)
京(けい、十兆のことをいう)
垓(がい、十京のことをいう)
ちょ(ちょ、十垓のことをいう)
穣(じょう、十ちょのことをいう)
溝(こう、十穣のことをいう)
澗(かん、十溝のことをいう)
正(せい、十澗のことをいう)
載(せい、十正のことをいう)
極(ごく、十載のことをいう)
恒河沙(ごうがしゃ、万万極のことをいう)
阿僧祇(あそうぎ、万万恒河沙のことをいう)
那由他(なゆた、万万阿僧祇のことをいう)
不可思議(ふかしぎ、万万那由他のことをいう)
無量大数(むりょうたいすう、万万不可思議のことをいう)

現在の使い方と同じなのは万までで、億から京までは1桁ごと違う単位をつかっていました。現在では104=10000倍で単位が上がる使い方をしています。ですから日本の数のカンマの付け方は本来4桁ごとなのです。

掛算の九九

1×1=1 から始まり、被乗数、乗数の順に声を出します。4の段からは「の」がなくなります。
(被乗数)<(乗数)だけを載せ、効率良く覚えさせています。

割算の九九



2で割る割算九九
  二一天作五(2で10を割れば5)
  (逢)二進一十「にっちんがいっしん」(2で20を割れば、商10)

3で割る割算九九
  三一三十一(3で10を割れば、商が3で余り1。そろばんでは余りは次の位に1を加えることになります)
  三二六十二(3で20を割れば、商が6で余り2)(逢)三進一十「さんちんがいっしん」(3で30を割れば、商10)

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