「プロデューサー豊原功補」が目指す映画の形 製作会社立ち上げ映画「ソワレ」を劇場公開

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――「映画監督外山文治短編作品集」に関しては、豪華キャストが集まった短編映画でしたが、監督だけでなく、製作も宣伝も全部外山監督本人が手がけていました。まさにインディーズというべき作品でした。

それを聞いて驚きましたね。僕は若いときから俳優として、商業作品の現場に入っていたものですから。自主映画を作る人たちがどんなふうに映画を作り、どんな風に節約してきたのか、といったことを考えたことがなかったんです。でも外山監督の話を聞いているうちに、ここ何十年も俳優をやっている中で自分の中で感じてきた、映画界に対する疑問が沸き起こってきたんです。

映画『ソワレ』は、映画関係者やファンの間から高い評価を受けている外山文治監督がメガホンをとる © 2020ソワレフィルムパートナーズ

――その疑問というのは?

例えばオリジナルの企画が通らない。バジェット(予算)が増えない。商業作品とインディペンデント作品とで、作家性のあるなしの落差が激しい。ミニシアターが危ない。独立系の映画制作会社が潰れていく――。そんなネガティブな話をいっぱい聞くわけです。

それはなぜなのかと思うわけです。俳優自身にとっても、例えばロイヤリティ契約が進まないのはなぜだろうとか。スタッフさんに関しても、商業作品として公開しているはずなのに、報酬面や夢の面などで、あまり幸せな感じがしないのはなぜだろうとか。それは長年の疑問だったんですよね。

ここ数年関わっている演劇を作る下地にもなっていました。そんなときにタイミングよく外山監督と出会うことができた。それでプロデューサーとして参加することになった、という流れです。

映画づくりは生半可な気持ちでできない

――この作品を作るために、小泉さんらと製作会社「新世界合同会社」を設立したと伺いました。一方、小泉さんが代表取締役を務める制作会社「株式会社明後日」のHPには、映像も視野に入れている、ということも記されています。この映画を「明後日」で製作するという選択肢もあったのかなと思ったのですが、「新世界合同会社」を設立した意図を教えてください。

「明後日」は、小泉今日子がやっている舞台を中心とした制作会社です。表現者である彼女が、演劇を肌で感じてみたい、知りたいという、作り手としての醍醐味を実践する場所となります。それに対して、映画製作はもっと大きな広がりを見せていくものです。

映像はわれわれのメインステージですから、そこに製作として関わるとなると、生半可な気持ちではできないというのはわかっていたわけです。そんな中で、先ほど言ったような疑問をそのままにしていいのかという気持ちもあった。

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