任天堂、「Wii U」に懸ける復活への正念場 前期の"損切り"で収益体質は改善

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主力IPのマリオのように、任天堂の業績も黒字へジャンプアップできるか

「新型ゲーム機のうわさはまったくの事実無根。強い違和感を感じている」。5月7日、任天堂の岩田聡社長は決算発表会見できっぱりと否定した。

岩田社長が言及したのは、1週間ほど前に流れた海外メディアの報道。6月に米国で開催される世界最大のゲーム見本市「E3」で、任天堂が新型ゲーム機を発表するというものだ。しかし、この観測を一蹴。さらに「スマートデバイスの活用は否定しないが、既存のマリオやゼルダを移植して儲けたとしても、それで任天堂を支えることはできない」(岩田社長)と、スマホ向けゲームビジネスに対して慎重な姿勢も崩さなかった。

収益好転の2つの理由

それでは、3期連続赤字に沈む任天堂をいかにして復活へと導くのか。この日発表した2014年度の業績予想は、わずかながらも黒字化する計画。売上高は前期比3.2%増の5900億円、営業損益は前期の464億円の赤字から今期は400億円の黒字に浮上する見通しを打ち出している。

会社側は2つの好転要因を示す。1つは、前期に実施した据え置き型ゲーム機「Wii U」の海外での値下げに伴う一時費用や棚卸資産の評価損、開発一時金がなくなること。「Wii Uは未来永劫、赤字が出なくなったわけではない」(岩田社長)と説明するが、前期に評価損を計上したことで、少なくとも今期については売っても赤字が出ることはないという。

もう1つは、不振が続いてきたWii Uの販売増だ。任天堂は2014年度のWii Uの販売台数を360万台(前期は272万台)、ソフトは2000万本(同1886万本)という目標を掲げる。5月には「マリオカート8」、年末には「大乱闘スマッシュブラザーズ」という任天堂の2枚看板といえる大型タイトルをリリースし、盛り返す計画だ。

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