いつでも面接待ち50人をキープする フラれたら次に行きつつ、何度でもラブコール

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面接予定者が少ないと妥協せざるをえなくなる

ビズリーチの密かな自慢は、離職率がとても低いということです。

その理由はなぜか? 僕は、採用するこちら側も採用される求職者側も、決して妥協しないからだと考えています。

たとえば、5人採用したいのに候補が5人しかいなかったら、採用人数を妥協するか、採用基準を妥協するかのどちらかしかありません。どちらにしても、理想とする人員体制を作ることは難しいでしょう。

しかし、50人の中から5人採用するとしたら、どうでしょう? 自社に合う人を妥協せずに選ぶことができます。採用される側としても、入社の判断を急かされることなく、じっくりと会社を見て考えることができるでしょう。

優秀な人に仲間になってもらいたいと思うのなら、このようにつねに面接予定者を確保することで、お互いにとって妥協のない採用を行うことが不可欠です。

「事業は人」、企業の生命線を外部に握らせるな

今のビズリーチの場合、「常時、面接予定者を50人確保すること」が一定の目安になっています。この数字は会社の規模や面接官の人数などによって異なってきますが、いずれにせよ、数字の目安を持つことがたいへん重要です。

創業間もないベンチャー企業だとしたら、内定から入社までの辞退率が一般より高いはずですから、多少、無理をしてでもこの面接予定者を増やしたほうがいいでしょう。ビズリーチも今でこそグループ全体で400人を超える会社となることができたので、4人に内定を出せば3人に入社していただけるようになりましたが、数年前までは4人に1人の割合でした。ベンチャー企業は候補者を選ぶ以上に、候補者に選んでいただくことに高いハードルがあるのです。

では、その50人を集めるためには、どんな仕掛けが必要か? この「仕掛けていく」という考え方はとても重要で、僕は、日本の企業の多くには、そもそもこのような肉食的な発想が足りないと感じています。

前回の記事でもお話したとおり、外資系企業は仕掛け作りに貪欲です。SNSを検索して、これはと思う人材に直接メールを送るのはもちろん、会社のトップや、優秀な社員によるセミナーや講演の開催など、人を集める場を作ることに余念がありません。営業であれば普通にしているこれらの仕掛け作りも、採用となった途端に及び腰になってしまう。

こうした取り組みは、「事業は人なり」ということを理解しているからこそ、できる仕掛けだと思います。優秀な人が仲間になってくれて、初めて会社が成長していくのだという原理原則を信じている会社は、採用にとても貪欲なのです。

それに比べて日本は、「目の前の営業目標をクリアするので精いっぱい」とか、「面接している時間がない」などを理由として、採用を人材紹介会社にすべて任せてしまう会社が多いのではないでしょうか。その傾向は、大企業でもベンチャーでも同じです。

「事業は人」なのに、そのいちばん大事な「人」をすべてアウトソーシングしてしまうのは、すなわち、企業にとって生命線である「人を採用する力」を放棄することに等しいのです。

同じく企業にとって最も重要な、「営業する力」や「製品・商品を作る力」を育てることはどの会社も熱心ですが、なぜか採用についてはすべてお任せという会社も少なくありません。

もちろん、戦略的に採用の一部を人材紹介会社にお任せするのはとても有効な手段ですし、現にビズリーチの採用においても、人材紹介会社にご協力いただいているポジションもあります。大切なのは各採用手法のメリット・デメリットを理解したうえで使い分けること。すべてをお任せしてしまっては、企業の生命線を外部に握られていることになります。

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