事故物件住みます芸人が求め続ける壮絶な現場 売れっ子になり映画化されても「恐い」を究める
「出費が重なって、貯金が完全に0円になったときもありました。
すでに本は発売されていたのですが、印税はすぐには入ってこないので、少し焦りました」
『恐い間取り』は1週間で重版がかかり、1カ月で6刷りまでいった。まもなく印税がドンと、振り込まれた。
「もちろん嬉しかったんですけど……なんだか客観的でした。これ本当にお金なのかな? って感じでした。やったぜ!! みたいな気持ちにはなれなかったですね」
お金が入ってきても、タニシさんはとくに贅沢をしようとは思わなかった。
タニシさんの部屋にはほとんど家具がない。過去に、自宅にお邪魔したこともあるのだが、広い間取りの部屋なのに、タニシさんは2畳くらいのトランクルームのような部屋で生活していた。
小さな布団、衣類、など必要最低限の物がパラパラと置かれていた。まったく生活感のない部屋で驚いた。
荷物が多いと、引っ越しのとき大変だから荷物を減らすというのはわかるが、それでもこんな人間味のない部屋に住んで精神は大丈夫なのか? と心配になった。
お金が入ってもモノは買わず、新しい事故物件を借りる
だから、お金が入っても、タニシさんは家具を買おうとは思わない。高級品にも興味がない。
また自動車を欲しいなどとも思わなかった。そもそも運転免許証を持っていないのだ。
「せっかくお金が手に入ったんだから、新しい事故物件を借りるのに費やしていこうと思いました」
今までは、どうしても初期費用がかからない、敷金礼金0円の物件を探すしかなかった。
現金を手に入れたことで、借りられる物件の幅が広がった。
「今借りている、9軒目、10軒目の部屋は、沖縄県の物件です。出版のイベントで沖縄に行った際、本土とはまったく違う文化にショックを受けました。それでどうしても、沖縄で家を借りたいと思いました。
実はそのうちの1軒は、事故物件じゃないんです。マンションの周りが全部お墓で囲まれているんですけど。調べてみたら、マンションの敷地も昔はお墓でした。お墓を取り壊して建てられたマンションだったんですね」
それは……人によっては事故物件よりも、抵抗があるかもしれない。
「もう1軒は、沖縄では広く知られているオバケマンションです。でも実際住んでみたら、すごく現代的でキレイな物件でした。
だけど噂話で、住んでいるうちにどんどんスピリチュアルに傾倒していった住人がいるという噂を聞きました。
また自分が寝ている様子をビデオで撮影したところ深夜に壁が『ドン!!』と大きな音で鳴って、その後僕がゆらりと起きて身体を揺らしていました。あからさまに変でしたね」
不思議な経験をしたときのことを話すタニシさんは、実に楽しそうだ。
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