三國陽夫・三國事務所代表取締役--円安誘導は購買力を奪う、債権国の経済学へ転換を

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 日本は、外貨を稼ぐ「債務国の経済学」を、1980年代に債権国になってからも続けていた。一方、債務国であるアメリカは、外貨を稼がなければいけないのに、借りまくって赤字を拡大させたままだった。そのアメリカが少し「しらふ」に戻って、「債務国の経済学」に替えると言っている。輸出を一生懸命やると。

それだったら日本は、借金をしてもっとおカネを使うべきだ。前倒しに消費を増やしていく債権国への転換が必要だ。債務国のアメリカは外貨を稼ぐ経済学に切り替われば、アメリカは消費を抑え、貯蓄を増やす経済に向かう。構造改革に必要なパラダイムチェンジは、日米がお互いの立場を替えることだ。

そもそも通貨政策は経済政策の座表軸。ここが狂ったら経済政策はうまく働かない。さまざまな事情でタブーだった円高シフトへ進んでいる今、日本経済をいかに成長させるかを大いに議論する好機だ。

(聞き手:鈴木雅幸(週刊東洋経済編集長) 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2010年2月6日号)

みくに・あきお
1963年東京大学法学部卒業、同年野村証券入社。75年野村証券退社、同年三國事務所を設立し代表取締役就任。2002年4月から04年3月まで経済同友会副代表幹事。09年末に格付け事業終了しコンサルタント業に。著書は『円デフレ』『黒字亡国』など多数。

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