東京ディズニー、5000億円投資の胸算用 投資抑制から積極投資に舵を切る

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さっそく今年度からテーマパークへの投資額を積み増す。今年9月オープン予定の「ジャングルクルーズ」のリニューアルや、TDSで水上ショーが行われる「メディテレーニアンハーバー」の鑑賞環境の改良、「マーメイドラグーンシアター」のリニューアル、さらにTDLのリロ&スティッチの新アトラクションなど、今年から来年にかけての完成をメドに矢継ぎ早に着手。投資額は394億円に上る見通しだ。

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TDLは7つのエリアを順次、刷新していく予定(撮影:尾形文繁)

それでも年基準の500億円には届かないのは、この先、より抜本的な大型投資が控えているから。「TDL はエリア一新、TDSは拡張」という大規模開発だ。

TDLはアドベンチャーランドやウエスタンランド、ファンタジーランドなど7つのエリアに分けられ、アトラクションやレストラン、ショップ、装飾などがそれぞれのテーマに応じてデザインされている。この各エリアを順次、刷新していくという。一方TDSは、未活用の用地が残っており、同地を開発してパークを拡張する計画だ。

パークの開発に当たっては、米ディズニー本社との合意が不可欠。さらにエリアを一新するというTDLは、営業エリアと工事エリアの兼ね合いもあり、入念なスケジュール調整が必要だ。そのため、開発の具体的な内容や時期はこれからとなるが、ビッグプロジェクトであるだけに、この2~3年のうちには内容が固まるものとみられる。

問われる巨額投資の中身

では、どのような開発が予想されるか。2013年度は年間入園者数が3130万人と、これまでの最高記録(2012年度の2750万人)を大幅更新した。が、同社では2700万~2800万人が、入園客に高い満足を与えられる現在のキャパシティととらえている。

これを10年で3000万人以上に引き上げるため、混雑緩和など快適性を高めるインフラ整備に着手するものとみられる。また、年々比重が増している40歳以上の中高年をターゲットにした、大人が楽しめる飲食施設やショーなどの新アトラクションの増設も検討されそうだ。

2013年度まで営業利益が6期連続で過去最高を記録しているオリエンタルランド。ただ、2014年度は開業30周年イベントの反動減を見込み、2012年度の水準まで後退するという業績見通しを発表している。舞浜の限られた用地の中で、さらなる利益成長を実現できるか。5000億円投資の具体的な中身が今後問われることになる。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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