ブランド流、最強バイヤーのつくり方 なぜ、バイヤーにコミュニケーション能力が必要なのか?

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バイヤーって、実際はどんな仕事?

前述のとおり、“バイヤー”のイメージは、“世界中を飛び回る”(イメージによる誤解度40%)、“好きなものが買える”(イメージによる誤解度70%)といったものです。

確かに、冒頭の写真のように、仕事で世界中のさまざまな都市に行くことがあります。ですが、それは主に海外でしか買い付けることができない、あるいは、そうした方が良い場合のみで、実際は日本のショールームでオーダーできることもあるのです。その場合はわざわざ経費をかけて出張しませんので、必ずしもすべてのバイヤーが世界中を飛び回っているわけではありません。

また、もうひとつの大きな誤解は、買い付ける中身です。バイヤーの好みで、ただ好きなものを買えばいいかというと、そうでもありません。大事なことは、そのお店で“売れる”ものをどれだけ買うか、これが重要なのです。ここを履き違えて、自分の趣味に走ってしまうと、大量の在庫が残り、痛い目をみることになります。

さて、ここでもうひとつの人気職種、マーチャンダイザー(以下、MD)をご紹介します。MDは、業界以外の方だとあまり聞き慣れないかもしれません。その仕事をシンプルに説明すると、商品の動向を分析し(売るために)管理するお仕事です。

では、バイヤーとどう違うのか?それぞれの会社によって、担当の業務範囲は多少ことなりますが、実は、あまり違いません。ブランドのジャパン社(日本法人)などでは、この2つを兼任することが多々あります。

一方で、商品数が多い大きな会社やアパレル会社などでは明確に分業化されており、バイヤーは仕入れに重点をおき、MDは商品の動向分析や販売戦略に重点が置かれています。筆者の場合は、この2つの中間のMDバイヤーとして、両方に携わっていました。いずれの場合も、ポイントは、“買いつけたもの(生産したもの)が売れるまでの責任をきちんと負う”ということです。

優秀な"バイヤー"と”カリスマバイヤー”の違い

とにかく、ファッションビジネスにおいて大事なことは、買うことよりも売ることです。わかりやすく例えて言うなら、入学するよりも卒業することが困難な海外の大学と同じです。仕入れたものがいくらよくても、売れなければ評価されませんし、裏を返せば、売れれば、中身はどうであれ評価される、ということもあります。ですから、しつこいようですが、この“売る”という最終目標を履き違えていない人が、優秀なバイヤーということになります。

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