(第6回)フェルマーその頂上への遙かなる道~谷山豊に捧げるレクイエム~(その2)

●クンマーの快挙

数学者志村五郎がワイルズよりも偉大だと私に語ってくれたのが今から紹介するクンマーである。その偉業を紹介しよう。フェルマー以後 n=3,4,5,7,14と個別な n の値に対して遅々たる進歩が200年以上かかったことになるが、ついに大躍進の時がやってきたのだ。それがクンマーの偉業なのである。

そのクンマーの業績の第一は、代数的整数論をつくったことである。クンマーのフェルマー予想に対する計画は一言でいえば「因数分解」にあったといえる。クンマーは素数p に対して、xp+yp=zpの因数分解を考えた。

zp=(x+y)(x+ξy)(x+ξ2y)(x+ξ3y) …(x+ξp−1y)

ここで、ξ (クサイ)は ξp=1 をみたす複素数である。このような ξ という新しい数を考え、数の世界を複素数まで考えたなかでの法則を研究するやり方を代数的整数論というのである。クンマーは、p ≧ 23 のとき「素因数分解がただの一通りにできる」という基本定理が成り立たなくなることを発見した。そこからイデアル類群という代数的整数論にとり最も重要な存在にたどり着く。

a0+a1ξ+a2ξ2+…+anξn(n ≧ 0, ai ∈ Q(有理数))

このような複素数がつくりあげる全体をQ(ξ)と表すと、次のクンマーの定理が示される。

クンマーの定理(1)
p を2 でない素数として、
Q(ξ) のイデアル類群の元の個数がp でわりきれなければ、
xp+yp=zpをみたす自然数x,y,z は存在しない。

この定理により、100以下の素数の37,59,67 以外の素数についてはすべてフェルマー予想が成り立つことが証明された。
 次にクンマーはフェルマー予想にはなくてはならないζ(ゼータ)関数の値の不思議について発見した。ゼータ関数については連載第1弾の第4回、第5回にくわしくあるので参考にしてほしい。

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