「神との契約」と「紙との契約」の違いとは? 中国の「揺さぶり」に屈しない法(中)

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成金相手のビジネスは危険がいっぱい

そして、1999年から2008年までの10年が第3期である。経済的にも政治的にも社会的にも、中国が順調に成長した時期だ。特に2003年以降の中国経済は、毎年二ケタの経済成長率を達成し、国内の不動産価格が上昇した結果、中国社会に無数の「土地成金」が生まれた。本格的な資源インフレの時代になり、中国経済の優位性も際立ったように見えた。未曾有の金融危機から日本景気が足踏みする中、中国は世界経済を牽引、日本の産業界は一層強く中国シフトを進めだ。

このとき、私はすでに信頼関係のない取引先とは、できるだけ商売はしない方針で臨んだ。長い間に当社の相手先は優良企業になっていたので、何も危険な取引先相手と付き合う必要もなかったからだ。それでも全体としては、過当競争から値直し交渉などを仕掛けてくる、民間企業とのトラブルは減らなかった。

最後の2009年から直近までの約6年間と残りの4年間、つまり2018年までが今後の激動期ということになる。2008年9月のリーマンショック後、中国経済だけが内需型成長を実現し世界経済の推進力となった。2010年には初めて日本のGDPを抜き、米国に次ぎ世界2位となった。すでに2013年の中国のGDPは名目で約57兆元(約980兆円)となり、現在の為替レート換算で日本のGDP(480兆~490兆円)の約2倍に達している。

対中貿易におけるレアメタルビジネスは圧倒的に売り手市場となり、強気一辺倒となった中国側とのビジネスは、一気にやりにくくなった。尖閣諸島問題が起こり、何の関係もないレアアースが輸出禁止となったのも、同じ時期である。

だが、日中関係は尖閣諸島問題から一気に悪化したが、私は政治と経済は峻別するべきであると考える。ビジネスの世界では、やはり経済合理性を追求すれば良いと思う。もちろん、外交面での関係悪化は望まない。

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