「仕事は道場」であり、まず自分の家庭がある--『会社を踏み台にする生き方』を書いた吉越浩一郎氏(吉越事務所代表、元トリンプ社長)に聞く

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--その際、「会社を踏み台にする」とは。

このところ、すべてに甘いほうに流れていないか。この現状は問題だ。若い人も会社に入ったときに、その会社の悪口ばかり言っていてもしょうがない。入った以上はその会社の社風に合うような自分になる。ただそのままではいけない。会社の悪いところは打破できる人間になる。それで初めて価値のある人材だといえよう。

打破を実行できるのはそれだけの実力がなければできない。会社に入って会社の内容もわかったうえで、変更を加えていける人がこれから必要な人だ。

コンピュータのソフトの例で話したい。統合パッケージというのがある。新たに導入する際に、これはいちばんうまくいっている会社のベストプラクティスだと勧められる。新たに開発するコストはかからないし、仕事の仕方自体をこれに合わせて変えよとされる。だが、こんなことはうまくいきっこない。それぞれの会社に社風があり、長年の経過の中でできたやり方がある。手間暇かけて初めて自社に合ったいいソフトができあがるものだ。その助けになる人材たれ。

--この本では、「残業なし」がキーワードの一つです。

社長になったら当然だがもっと忙しい。仕事に専心したし、毎晩のように、どこかの社長やその夫人と食事をしたものだ。

実は土日もどこの誰よりも仕事していた。そうしなければ、終わらないからだ。かといって、会社ではそのことをおくびにも出さなかった。そのうえで、自宅で仕事をしているヤツはさっさと会社を辞めろと言っていた。上に行けば行くほど忙しくなる、これは仕方がない。ただ、課長ぐらいまでは効率よく働き、「自宅仕事、残業なし」でやっていきたいものだ。

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