新型コロナ、「2週間後」予測はなぜハズレるのか 高橋泰教授「データに合う新型コロナ観を持て」

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現実はどうか。冒頭のグラフに見るように、目の前のデータから見える現在の新型コロナウィルス感染のファクトは、コロナ観Aに近づいているように思う。7月22日のGoToキャンペーン初日から2週間が過ぎたが、一向に重症者や死亡者が増えていかない。今後若干増えたとしても、コロナ観Aで予測される200人をも大きく下回る可能性のほうが高いように見える。

「新型コロナウィルスは弱毒化したのか?」という指摘が、一部のマスコミに出ているが、私の研究チームは、新型コロナはもともと弱毒であり、大きく変化したとは考えていない。

わが国の年間死亡者数はデータの確定している2018年で見て136万人。1日当たりでは3732人が亡くなっている。うち肺炎だけでも259人。新型コロナによる死者が平均6人という現実のデータで見ると、新型コロナはそのために日本全体の経済や社会活動を止めなければならないようなウイルスではなく、GoToキャンペーンから東京除外の対策を打たねばならないほどのウイルスでもなかったように思われる。

コロナを恐れる人々の気持ちのほうが怖い

――GoToの経過が4月と異なる点は、地方の知事たちの間で不安が高まっていることです。

地方に広がったのは事実だが、実際の重症者数や死亡者数はわずか。コロナ自体よりも、コロナを恐れすぎている行政や住民の反応が怖い。

感染者を差別したりする風潮が生まれているのもコロナ観がBであるために、恐れすぎるからだ。「指定感染症」のままである影響も大きい。

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