タリーズ「季節限定ドリンク」の実力は? 4年前に販売を始めたタピオカ飲料が静かなヒット

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タピオカハニーミルクラテ(税込価格500~650円)。ストローを通りやすいように小粒にしたタピオカがたっぷり入っている

一昔前は女性の専売特許のように言われていたスイーツだが、男性も抵抗感なく口にできる時代となった。「スイーツ男子」などと言われるように、若い世代では、男性2人連れで喫茶店に入り、ケーキやパフェなどを注文する、といったことも、普通に行われているようだ。

また、例えばコーヒーショップでは、女性をはじめ幅広い客層を取り込めるよう、スイーツ類にも力を入れている。各社ともケーキやデザート感覚の強いドリンクを続々と発売して鎬を削っており、女性に混じってそれらを楽しむ男性の姿も増えてきた。女性客の多い店でスイーツを頼むのは恥ずかしい男性でも、コーヒーショップなら堂々と頼める、というところだろうか。

タリーズコーヒーは4月23日に春夏限定の「タピオカハニーミルクラテ」「ハニーゼリーレモンティー」を発売。ライバルのスターバックスコーヒーの「フレッシュ バナナ & チョコレート クリーム フラペチーノ」が人気化している折でもあり、早くもSNSなどで話題となっている。とくにタピオカハニーミルクラテは、「35~40代の男性にも予想以上に人気」(広報部)という。

人気の秘密は、食感と喉ごし、そしてやはり、ヘルシー感のようだ。タロイモのデンプンを原料とする「黒タピオカ」は同店オリジナルと言っていいほど、商品企画に関わり改良を加えてきたもの。素材が本来もつ自然な甘みと、歯ごたえが楽しめる、もちもち感がポイントだ。

そもそもタピオカと言えば、中華街などで人気のタピオカミルクティーやタピオカココナッツミルクなど、アジアンスイーツに使われる食材。なぜ、コーヒーショップのドリンクとして、タピオカが取り入れられたのだろうか。

国内出店時の特徴はスイーツだった

それを説明するためには、1998年、現在は参議院議員として活躍する松田公太氏がタリーズの日本1号店を開店した当初までさかのぼる必要がある。

タリーズはシアトル発の本格派コーヒーショップだが、アメリカにない日本店の特徴として、スイーツを充実させたいという思いが当初からあった。東京・銀座に日本1号店をオープンした当初から、オリジナルアイスクリームを販売しているのもそのためだ。まずはスイーツに対する感度が高い女性客を取り込むことで、世代や男女問わず、広く認知を高めていこうという戦略だった。

しかし、日本上陸当初はオフィス街への出店が多かったため、「スーツを着た男性が『ホット1つね』と注文する店」という印象が強くなってしまった。豊富な品揃えが徐々に知られるようになり、女性客も増えたが、やはり25~40代のビジネスパーソンが多く、「大人の店」という位置づけが定着し若者が立ち寄ってくれない、という危惧があった。

そこで4年前に投入したのが、「タピオカココナッツラテ」というフレーバードリンクだ。「まさに、中華街の屋台やスタンドに若い女性が並んでいるように、当社の店にも20歳前後の若い女性を増やしたかった」(広報部)。

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