スクウェアが主力ゲームのリメイクで得た自信 『FF7リメイク』は発売3日で350万本を超えた

✎ 1〜 ✎ 151 ✎ 152 ✎ 153 ✎ 最新
拡大
縮小

ただ、そのやり方に普遍的なものはない。同じ『FF(ファイナル・ファンタジー)』であっても、ユーザーはタイトルごとに固有の価値を見出しているからだ。

まつだ・ようすけ/1963年生まれ。東京大学教育学部卒業後、三井生命(現大樹生命)へ入社。アクタス監査法人などを経て、1998年スクウェア(現、スクウェア・エニックス・ホールディングス)入社。経理財務部長、取締役専務などを経て、2013年から現職(撮影:梅谷秀司)

作り手の狙いが必ずしも受け入れられるとは限らず、作り手の意図しないところで爆発的な盛り上がりを見せることもある。それが難しいところであり、面白くもある。

重要なのは(さまざまなタイプのゲームで)ポートフォリオを組んで運営していくことだ。定番シリーズを収益基盤として持っておきつつ、新しいタイトルに挑戦していく。打席に立っていかないといけない。

逆風下で好調なスタートを切った

――スクエニの場合、『ドラゴンクエスト』、『FF』のシリーズが2大収益基盤です。今年4月に発売された『FF7リメイク』は、コロナが深刻だったタイミングだったにもかかわらず、好調なスタートでした。

『FF7リメイク』のワンシーン。販売は好調な滑り出しとなった© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI

発売3日間の販売本数は350万本を超えた。逆風下では、善戦したといえる。主力市場の欧米でコロナによる都市封鎖が実施され、小売店が閉まる中で、パッケージソフトの生産量を絞らざるをえなかったからだ。

一方、ポジティブな変化もあった。小売店が閉鎖されたことで、これまでダウンロード販売があまり普及していなかったヨーロッパの一部地域などでもデジタル化が進んだのだ。

『FF7リメイク』は、発売3日間の4~5割がダウンロードによるデジタル購入だった。当社のタイトルの中でも、これまでにない高水準だ。店頭で買えずやむなくデジタル版を購入したお客様の中には、実際に使うことでその手軽さに気付き「今後もデジタル版を買おう」と思った方も多いのではないか。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「あえて『FF7リメイク』を出した理由」「クラウドゲームに対する考え方」「ゲームAIの可能性」などについても詳しく語っている。
印南 志帆 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT