「地球生態学」で暮らそう 槌田敦著

「地球生態学」で暮らそう 槌田敦著

30年前「地球は(閉じた)宇宙船地球号ではなく、入り来る太陽熱と宇宙への廃熱の放出とで成り立つエンジンである」と主張した著者が、その集大成として地球のエネルギー循環を生態学の視点から詳細に述べた異色の書。

エネルギー、元素、水、養分などが陸地と海洋をどのように循環するのか、それが産業や社会をどう規定しているのかなどエントロピー概念も適用しつつ丁寧な説明が続く。

中世にはげ山だらけだった日本が森林国家になったいきさつ、雨が降らないから世界が砂漠化するのではない話、川を下っていく養分が山地に遡っていく仕組み等、興味深い話題が随所にある。

中でも生物の糞や死体が陸や海で循環しつつ重要な役割を果たすことについての記述は著者の独壇場だ。「耕さない農業」はじめ自然に寄り添って暮らすためのヒントも興味深い。

地球環境、農林・漁業はじめ、われわれの暮らしを考えるうえの問題提起がたっぷり詰まっている。(純)
 
ほたる出版 1575円

  

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。