スラップ訴訟をどう抑止していくか 「反社会的な行為」という認識を広めることが重要


 両教授の立論を基に、スラップ訴訟の特徴をまとめると次のようになる。

(1)刑事裁判に比べて裁判化が容易な民事訴訟である。

被告にとっては刑事告訴がより深刻だが、民事訴訟は、紙一枚を書いて裁判所に行けば起こせ、相手にコストを負わせやすいという面がある。誰にでも使える合法的恫喝であり、だからこそ危険である。

(2)公的問題がメディア上など、公の場所での論争になっている。

(3)訴訟の原告あるいは被告は、その公的論争の当事者である。

(4)その公的問題について公的発言をした者が標的とされ、提訴される。ここで言う「公的発言」とは、マスメディアに寄稿することだけでなく、その取材に答えること、ブログや記事を公開すること、新聞の投書欄に投書すること、意見広告を出すこと、労働組合を結成すること、チラシを配布すること、合法的なデモをすることなどが含まれる。

(5)提訴する側は、資金、組織、人材などの資源をより多く持つ、社会的に比較強者である。

(6)提訴される側は、それらの資源をより少なくしか持たない比較弱者である。

(7)提訴によって金銭的、経済的、肉体的、精神的負担を被告に負わせ、苦痛を与える。

つまり、弁護士費用、時間の消費、肉体的・精神的疲労などを被告(被害者)に負わせ、疲弊させ、反対・批判を続ける意欲や能力を失わせる。それにより、被告が公的発言を行うことを妨害する。また、被告が団体の場合には、団結を乱し、分断し、分裂させることを狙う。

(8)訴えの内容、方法などに、合理的な訴訟ならありえないような道理に合わない点がある。

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