小沢氏Vs検察の陰で 「小・鳩」のパワーゲーム

小沢氏Vs検察の陰で 「小・鳩」のパワーゲーム

塩田潮

 18日、通常国会が始まるが、またもや検察が小沢幹事長に追及の矢を放ち、15日に元秘書の衆議院議員らを逮捕した。鳩山首相の虚偽献金と並んで、政権の2本柱が疑惑の矢面に立たされるという異常事態となった。
 ところが、16日の民主党大会で、小沢氏は「断固戦う」と全面対決を表明し、鳩山首相も「臆することなく職務遂行に全力を」と幹事長続投を明言した。今後、国会が大荒れとなり、内閣支持率も低落して、政権が立ち往生すれば、危機突破のための幹事長辞任か、それとも首相交代かという場面も予想される。

 鳩山氏は幹事長だった昨春、西松事件の際も「一蓮托生」と言い、小沢氏支持を唱え続けた。結果的にこの判断が後継代表就任、総選挙勝利、首相到達につながった面があるが、今回も同様に「一蓮托生」を選択したかに見える。指導力不足の首相は、剛腕幹事長の助力が必要で、7月の参院選の勝利に「選挙の小沢」は絶対条件と考えているのだろう。
 だが、心底から「一蓮托生」の覚悟かどうか。
 振り返ると、鳩山氏は昨春、突然の小沢氏沈没で急浮上した。首相就任後、じわじわと「小沢支配」が色濃くなっていた矢先の小沢氏の再沈没だ。もしかすると、首相は密かに「小・鳩」の力関係の逆転の好機と見ているかもしれない。だとすれば、党首として「どうぞ存分に検察と戦って」と言いつつ、首相としては別の舵取りを行う可能性もある。そんなしたたかさ、戦略的思考、力量や手腕があるのかという疑いは残る。

 とはいえ、「永田町的政治風土と自民党的政党文化の打破」という民主党の原点に立ち戻れば、民主党の弱点補完の役割を担ってきた「小沢流」は、そろそろご用済みという判断も生まれる。「小沢時代の終わり」をめぐる綱引きで、首相は最終的に「一蓮托生」と「幕引き役」のどちらの道を選択するのか。
 与野党の攻防、小沢氏と検察のバトルとともに、権力中枢の「小・鳩」のパワーゲームも要注意事項だ。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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