南アフリカ現地ルポ--勃興する黒人中間層、黒いダイヤの光と影


 ヨハネスブルク国際空港から南西へおよそ30キロメートル。早朝の混み合う高速道路を1時間ほどかけて走り抜けると、目の前には緩やかな起伏に簡素な平屋が建ち並ぶ広大なソウェトが広がってくる。

ソウェト=SOWETOとは「南西タウンシップ」の略で、南アフリカの最大都市ヨハネスブルクの南西に広がる最大の黒人居留区だ。150平方キロメートルほどの広さのソウェトには、300万人以上の黒人が密集している。

アパルトヘイト(人種隔離政策)が完全に撤廃される1994年までは、反アパルトヘイト蜂起が相次いだ地域であり、南アの黒人コミュニティの中心地である。

そのソウェトの東端、かつて金山があったことを示す薄黄色のボタ山に囲まれた荒涼とした大地に、巨大なスタジアムの威容が現れる。この赤茶色をしたスタジアムこそが、6月11日のサッカーW杯開幕戦、7月11日の決勝戦などが行われる「サッカーシティスタジアム」である。

スタジアム周辺を歩くと、青い作業服をまとった多くの黒人労働者が働いている。周辺の路上にはミルクを発酵させた独特のアルコール飲料を売る屋台もあり、朝から何人かの労働者が店員と話し込みながらコップを傾けている。

建機の数は少なく、全体にのんびりとした雰囲気が漂う。周辺の駐車場や道路の工事は手つかずのままだ。本当に間に合うのだろうか。

隣接するSAFA(南アフリカサッカー協会)本部にいたスタッフとおぼしき人物に尋ねると「電光表示板を見てみろ。まだ196日もある。前日までに完成すればいいではないか」とそっけない。

実際は、労働組合が賃上げを要求しストライキを打つなどしたため工事は遅延している。スタジアムだけではない。本来は空港からホテルが建ち並ぶ北部のサントン地区と南西部のサッカーシティを結ぶ高速鉄道「ガウトレイン」が開業するはずだったが、全線開通はW杯には間に合わないことが確定している。

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