経済危機は世界に何をもたらしたか 伊藤元重著

経済危機は世界に何をもたらしたか 伊藤元重著

超悲観から超楽観まで断定的な経済予測の本があふれるなか、なぜこうなったかの理由を軽重をつけつつ丁寧に説明し、見通しについても、たぶんこうなるだろうが、この点も注意して見ていく必要がある、というふうに本書の切り口はあくまで柔らかい。

導入部の世界金融危機と日本の貿易収支についての章は教科書的とさえ言えるが、中国、アメリカ、EUと話が進むとともに、世界経済の直面する問題点が、平易かつ明快に解説される。

著者の持論である「鳥、虫、魚(潮目の変化)の目」の視点がほどよくミックスされていて、極論からは遠いけれども、分析や主張は率直で後味がいい。

円レートをめぐる章と東南アジアとの絆を展望する章では興味深い提言もさまざまになされている。来るべき日本の貿易赤字について「過去の資産を消費に回している、高齢社会の健全な姿に過ぎない」という傾聴すべき指摘や「為替予測は不可能だ」との主張もある。(純)

東洋経済新報社 1680円

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