モバイルが新聞を凌駕、英国で進む広告大移動 スマホ・タブレットがメディアの主役に

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紙メディアをルーツとする新聞社、出版社もモバイルへのコンテンツの最適化を最優先課題に据えている。

英ガーディアンは新聞紙面では見開き2ページを使う写真シリーズ「アイウィットネス」をタブレットで高精細に見せることにより、高い評価を受けた。ニュース週刊誌『エコノミスト』のタブレット版では、時計メーカーの広告の中で内部の部品がカチカチと音を立てながら回り出す。

フィナンシャルタイムズを発行する出版社のピアソンは売り上げの半分がデジタル関連だ。世界150カ国の3500万人が同社の英語学習教材を使う。パソコンを持たない世代や、パソコンよりモバイル機器のほうが普及している国への進出のカギになるのがモバイル用の学習アプリ。昨年夏、ゲーム要素を用いたレッスンで人気の英語学習アプリの開発企業、米ボクシー社に投資。モバイル重視戦略をさらに強化する予定だ。

こうしたデジタルメディアが定着する中で、ネット広告収入は着実に伸びている。コンサルティング会社デロイトが英オンライン出版社協会(AOP)と協力して行った調査によると、英国の新聞社と出版社を合計したネット広告収入は昨年、前年比で18%増加した。08年に統計を取り出してから最大の上昇率だ。広告形式では動画の伸びがトップで40.9%の増加。モバイル機器の動画広告に限ると80%以上も増えている。

放送もモバイルへ

モバイル機器が普及する流れに、テレビやラジオなどの放送業界も順応している。

今や視聴者は、放送時間にテレビの前に座る必要がない。見逃し番組を無料で再視聴できるオンラインサービスが提供されているからだ。

BBC(英国放送協会)のオンデマンドサービス「アイプレーヤー」では、放送から7日以内(近く30日に延長される予定)のテレビ、ラジオ番組をいつでも何回でもネット経由で視聴できる。民放局も無料で同様のサービスを提供している。従来、視聴端末はパソコンが主体だったが、今ではスマホ、タブレットが主役になっている。当然、これらのネット配信サービスに掲載される広告はテレビ広告ではなく、ネット広告にカウントされる。

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