北京で新型コロナが「再燃」、感染ルートの謎 現地では「欧州から流入」説が広がっている

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楊鵬氏は、北京でのウイルス感染拡大の理由について2つの可能性があると指摘する。1つ目は物による感染だ。特に現在は国外での感染拡大が深刻であるため、肉や海産物の処理の過程で製品が汚染され、それらが国内の市場に入った。その後、関係者がそれらの製品に接触し、感染が広がったというものだ。

2つ目はヒトからヒトへの感染だ。卸売市場には毎日多くの関係者が出入りしているため、感染する可能性が比較的高い。感染した人物の分泌物により、物品にウイルスが付着したという可能性もある。

中国疾病予防管理センターの感染症学主席専門家を務める呉尊友氏は、「現在の北京の状況を見るに、1つ目の原因である確率が高い」との見解を示す。彼は「今回の感染拡大が起こるまで、北京では50日以上、感染が確認されていなかった。もし疫学調査とビッグデータ分析により、現在までに確認されている感染者がいずれも北京の外へ出ていないと判明した場合、可能性があるのは国外、または北京以外の都市から送られてきた物品がウイルスを運んできたということだ」とコメントしている。

ウイルスはすでに拡散されているのか?

サーモンのまな板から新型コロナウイルスが検出されたことも判明しているが、これについて吴尊友氏は、「輸入したサーモンを切ったまな板からウイルスが検出されたからといって、サーモンが感染源であると結論づけることはできない。まな板に接触したすべての人と物が感染源である可能性を持っている」と話す。

「ヒトからヒトへの感染は市場内ではすでに発生している。短期間でこれほど多くの感染者が確認されるということは、ヒトからヒトへの感染が起こった可能性が非常に大きいということだ。しかしわれわれは物品が汚染されていたという可能性も排除せず、感染が起こった原因を突き止める」と楊鵬氏は語る。

北京市疾病予防管理センターの関係者にとっては、ウイルスの感染ルートを辿ることよりも切迫した任務がある。それは患者の徹底的な検査を行い、大規模な感染拡大を防ぐことだ。

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