ヤフーに学ぶ「システム標準化」という経営戦略 ITを経営に生かす「データドリブン」の世界

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1996年の設立以来、日本のインターネット産業をリードし続けてきたヤフー。今では、100以上のサービスを擁する巨大企業グループに成長した。現在、データを活用してよりよいサービスを生み出すべく、フロント部門からバックオフィスまで全社を巻き込んだ施策を進めている。データドリブン経営を軸とする「モダンなコーポレート」を目指して、ヤフーがまず始めたのは財務会計システムの刷新だった。

ヤフー「パイオニアゆえ」の悩みとは

日本のインターネット産業をリードし続けてきたヤフーだが、現在も攻めの姿勢は変わらない。2019年には持ち株会社体制に移行してZホールディングスを設立。同年9月にZOZOの連結子会社化を発表してコマースを強化したかと思えば、11月にはLINEとの経営統合の基本合意を発表している。ヤフーは「Yahoo!ニュース」などのメディア事業、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」などのコマース事業などを擁する事業会社となり、引き続きグループの中核的な役割を担っている。

挑戦を続ける一方で、インターネット産業を切り開いてきたパイオニアゆえの悩みもある。ベンチャー時代から構築してきたバックオフィスのシステムは、広告、ヤフオク!などの各業務領域に特化したプロセスを継ぎはぎするように発展してきた。その結果、各システムが個別最適化され全体の効率を落としてしまっていたのである。同社の服部典弘氏は、そうした課題についてこう明かす。

ヤフー コーポレートグループ グループCIO 兼 テクノロジーグループ グループCTO
服部 典弘

「ヤフーの設立は24年前。当時ヤフーの中核事業であった広告事業を中心にバックオフィスの仕組みをつくり、以降はそれをベースに機能を拡張したり、パーツを付け加えたり、部分的にリプレースしたりしてきました。パーツは内製したものもあれば、パッケージを導入したものもあります。そうやって小さな仕組みを数珠つなぎにして個別最適化し続けた結果、いくつかの重要なデータが、まちまちな粒度・異なる構造で複数のシステムに分散してしまった。複数のデータを統合して把握するのに、手間がかかるようになっていたのです。データの力を経営に生かすには、バックオフィスのシステムを根本から見直すことが急務でした」

データドリブン経営を可能にするシステムの基盤をどうやって構築すべきか。検討の末、同社が財務領域の基盤として選択したのは「Oracle Cloud ERP」の導入だった。システムを内製するリソースも持っているヤフーが、なぜオンプレミスでなく、クラウド型のERPを導入したのか。その答えは、次のページから無料でダウンロードできるPDFで詳しく解説している。ぜひ参考にしてほしい。