市場に配慮を見せた、黒田総裁

2%の物価安定目標は、「道半ば」と強調

4月15日、黒田東彦日銀総裁(写真)は、安倍晋三首相との会談後、日銀が掲げている2%の物価安定目標への道のりが「道半ば」であることを強調した。8日撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 15日 ロイター] -黒田東彦日銀総裁は15日、安倍晋三首相との会談後、日銀が掲げている2%の物価安定目標への道のりが「道半ば」であることを強調した。

前回の金融政策決定会合後の記者会見以降、市場の追加緩和観測の後退とともに株安・円高が進む中、目標達成を楽観視していない姿勢を示すことで、市場に一定の配慮をしたとも言えそうだ。

総裁はこれまでの会見でも、目標を達成するまでに様々のリスクが存在するという趣旨の発言を繰り返してきた。目標への道のりが「道半ば」との表現も、同じ趣旨と受け止めることが出来そうだ。

しかし、この日は、記者団から首相との会談内容を問われると「2%の物価安定目標の達成に向けて道筋を着実にたどっている」と述べつつ、すかさず「ただ、未だ道半ばだ」と言及。

今後の金融政策運営について「内外の経済状況を十分に踏まえ、2%目標達成に支障をきたす恐れがあれば、ちゅうちょなく金融政策の調整を行う」と続けた。

8日の会見での発言と比べると、後段部分にも「力点」を置いているようにも見える。

目標達成への自信と警戒を同時に発信する手法は、11日にワシントンで行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見でもみられた。

「道半ば」を強調する一連の発言は、8日の会見以降、追加金融緩和観測の後退を背景に株安が進んだと、市場で指摘されていることとも無関係ではなさそうだ。

8日の会見で総裁は、物価目標達成に自信を示すとともに、追加緩和策について「現時点では考えていない」と発言。これを受けて市場での追加緩和観測が後退した経緯がある。

もともと日銀では、足元の物価は日銀の見通しに沿って順調に推移しているものの、長く続いたデフレ経済の下で、目標達成に不可欠なデフレマインドの払しょくは容易でないとみている。

さらに日銀が重視するインフレ期待への働きかけという面においても、株価に代表される資産価格の動向は重要だ。

デフレ脱却に自信を示せば、追加緩和観測の後退で株安・円高が進むという複雑な市場心理をどのようにコントロールしていくのか──。

目標達成期限があと1年程度に迫る中、日銀と市場の「対話」の結果が、政策対応の中身に影響しかねないということもありそうだ。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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