就活生のコロナ影響、これからがむしろ本番だ インターン中止や採用減で22年卒生は逆風か

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コロナ影響の長期化が予想される中、会社に多くの学生を集めるのはリスクが大きい。そのため、例年行っていたインターンシップを断念する企業が増えている。また、大学が行う単位取得型のインターンシップを中止するところも多く、学生にとってはリアルな「就業体験」を経ぬまま就職活動を進めていかなければならない。

また、企業の担当者とリアルに接触する機会も限られる。リクナビでは2022年卒向けのインターンシップ合同企業説明会を7月末まで実施しないことを決めた。マイナビも青森や和歌山、宮崎で行うインターンシップの合同説明会を除き、6月中のリアルイベントの開催を中止した。代わりにWebでの説明会を実施していく。

夏のインターンシップは「Web説明会」に切り替え

インターンシップは就職の早期化の原因になっているとの批判がある一方、実際に働く経験をすることで当初のイメージと実際の仕事のギャップを埋め、就業後のミスマッチを防ぐ効果があると言われている。Webによる就職活動は時間の制約や、とくに地方の学生にとっては、交通費などの負担を減らせるメリットはある。しかし、実際に現場で働くという機会が失われることで、イメージが先行したまま志望先を選んでしまう懸念が残る。

また、今年から「1dayインターンシップ」の表記が認めらなくなり、「1日仕事体験」といった言葉に改められているが、それも多くがWebに代替されている。会社説明会みたいな形式でも、訪問することで、会社の雰囲気や働いている人の様子などを理解でき、映像越しではわからない情報も得られる。

一方、企業側からすれば、Web説明会のほうがインターンシップの受け入れ準備や実際の運営をしない分、手間は少なくなるかもしれない。しかし、学生を見極めるという点ではWebだけで完結するのは簡単ではない。今年、ある程度内定が出せているのは、コロナウイルスの感染拡大前に行ったインターンシップで学生と接触していたことが大きい。

企業の採用計画も不透明だ。前述の航空業のように2021年卒の採用スケジュールの延期や計画見直しを検討している企業が出ている。景気後退が鮮明になる中、2021年卒は計画通りでも2022年卒は採用数を減らす企業が続出する可能性は高い。

いずれにしても、就活生に有利な売り手市場だった就活・採用の環境はがらりと変わることになる。また、経団連から出ている一括採用の見直しや、政府が求めている中途採用の拡大などの動きもある。2022年卒生はこれまでにない難しい就活を求められることになるだろう。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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