北朝鮮「デノミ」実施は政治目的、すべては後継体制づくりのため

2009年11月30日に、17年ぶりのデノミを実施した北朝鮮。新旧通貨の交換比率を100分の1にし、インフレ抑制を行うという目的だったが、それから1カ月。実施直後の住民からの不満をはじめとする混乱はやや沈静化したものの、デノミの効果はまだ不透明なようだ。

中国の「参考消息」紙によると、現地駐在記者が訪れた平壌市内でも規模が大きい「統一市場」では、店舗数も買い物客もデノミ前より減少しているという。国家の統制下にある物価がまだ決まっておらず、売る側も困惑しているようだ。

野菜などの食料品の価格も変動している。たとえば、タマネギ1キロ70ウォン(新券)というところもあれば、同40ウォンで売るところもあり、白菜も同10ウォンで売っていたり、5ウォンで売っていたりと売る側も値付けに困惑している状況が見て取れる(いずれも09年12月下旬の動向)。「逆にどれくらいなら買うか」と売り手から質問される状況も見受けられるようである。

北朝鮮当局は新券の国外持ち出しと国内での外貨使用を禁じているが、韓国の対北朝鮮放送「開かれた北韓(北朝鮮)放送」は、デノミ実施直前の為替レートは1人民元=588ウォン(新券では5.88ウォン)だったが、09年12月末には1人民元=1000ウォン(旧券で10万ウォン)にまでハネ上がっているという。

1月7日には北朝鮮の貿易決済を取り扱う朝鮮貿易銀行が1ドル96.9ウォンに設定したと中国紙が報道した。また1人民元は14.19ウォン、1ユーロ138.35ウォンとそれぞれ設定。しかし、デノミでの100対1という交換比率を考えると1ドル1.4ウォン程度となるはずだが、それでもウォン価値をずいぶんと下げた設定となっている。

一方、09年12月に市民に支給される給料は「勤務状態にかかわらず、全額支給せよ」との指令が労働党中央から来ており、しかもデノミ前の額面のまま、新券で支払われたようだ。つまり、給料が100倍になったことになる。そのため、デノミ後の物価は前よりも上昇傾向にあるものの、「実質的に給料が上がったので物価上昇は許容範囲」と言う市民もいるという。

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