「飲食店のコロナ問題」は決して他人事じゃない 「なくてはならない店」に何が起きているのか

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ズラリとお酒が並ぶ「ペンギン酒店」の店内。日本酒の季節酒など、お酒によっては飲む時期が限定されるものもあるため、仕入れが悩ましかったという。お店のサイトはこちらから(写真提供:ペンギン酒店) 

マンガにも描いたように、飲食店の客足に影響が出始めたのは、立地によっては2月から。でも、持続化給付金の申請開始は5月からです。

家賃補助支援も現在計画されているそうですが、申請開始は6月末の予定。申請後もすぐに補助金が支給されるわけではありません(ちなみに、マンガに描いた金額はこのお店の場合で、自治体や店の規模などによってかなり変わります)。

今回取材して、飲食店を対象としたいろんな補助があることはわかりましたが、同時にそれだけでは到底、店は維持できない、ということもわかってきました。蓄えが潤沢な飲食店はそんなに多くはありません。

また、このお店はもともと経理を税理士さんに任せていたため、補償の申請の作業はだいぶ楽になったそうですが、小さな個人店では、店主自ら経理のすべてを担っている店も少なくありません。そうした店では、申請にもかなり手間どっているのだとか。特に、社員の従業員がいる店の申請はより複雑で、大変になるそうです。申請にまつわるあれこれで、心を折られているお店も多いのではないでしょうか。

大変だけど、営業を維持できている

ところで、実はこの店がオープンしたのは2019年の3月。つまりオープンして1年ちょっとしか経ってない新しいお店なのです。それなのに、産休をとり、短縮営業もしつつ、このコロナ禍の中でも店を維持できている。これはすごいことだとも思うのです。ちなみに数カ月前から、飲食店では珍しい週休2日の営業です。

次回は、そんな営業体系でもコロナ禍を乗り越えつつある、この店がやったコロナ対策のいろいろを紹介します。

東京では、緊急事態宣言解除後も飲食店の営業の時間短縮要請は続いたままです。もしかしたら、そうした店のヒントになることもあるかもしれません。次々回は、コロナ禍の妊娠出産についても紹介します。

ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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