「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(下)

「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(下)

(上)より続く

だが、風は東芝に吹いた。液晶メーカーの投資競争によりパネル供給は拡大、パネルは急速にコモディティ化する。自前で作るより他社製を購入するほうが有利な状況が開けてきたのだ。もちろん需給タイトに転じれば、価格と量の確保の両面から、自社で持たない弱みが浮上する。

そこで東芝は07年4月、パソコンとテレビでの共同調達に踏み切った。世界有数のノートパソコンとパネル調達を一本化したことで、世界最大級の調達力と価格競争力を持つパネルバイヤーへと躍り出たのである。

もともとパネルで差別化できなかった東芝は、半導体を含めた画像回路に差異化を図るしかなかった。これも吉と出た。

画像回路の最大のコストは設計開発。つまり数を出せば1台当たりコストは下がる。パネルは6社ほどの調達先の中からその都度安いところを選び、自社の画像回路で業界最高峰の画像に仕上げる。結果的にパネルをあきらめ、回路を残した選択が功を奏した。

業界七不思議の「東芝のテレビ黒字」の謎解きを、EMS(電子機器製造請負)やODM(相手先ブランドでの受託開発・製造)など、外部資源の積極活用に求める業界関係者は少なくない。が、この見方は半分正しく、実は半分正しくない。

確かに、米国で販売するテレビの5割以上は外部に委託している。世界で最も熾烈な価格競争を強いられる米国では自社生産にこだわれないからだが、テレビ事業を統括する大角正明執行役常務は「国内販売は、ほとんどが埼玉・深谷と中国・大連の自社工場製。日本では今後も自社生産にこだわる」と断言する。

数量拡販へ大きく舵、激安と100万円新製品

調査会社のディスプレイサーチ・鳥居寿一バイスプレジデントは、「日本は価格下落は厳しいが、高画質の付加価値品が売れる。為替リスクもないので、上位4社までは利益を出せる。一方、欧米で利益を出している日本メーカーはないのではないか」と指摘する。

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