ニッポンブランドの評価はなぜ低いのか? 「出るくい」は打たず、グローバル人材に育てよう

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アメリカ人目線の企業イメージ評価

それでは、と気を取り直して『Fortune』誌(3月17日版)が発表した「The World’s Most Admired Companies」をのぞいてみることにしましょう。総合ランキングの上位を見ると、1位から順に、アップル、アマゾン、グーグル、バークシャー・ハサウェイ(ウォーレン・バフェット率いる投資会社)、スターバックス、コカコーラ、ウォルトディズニー、フェデックスなどとなっていて、トップ50に顔を出している日本企業は25位のトヨタだけです。ちなみに韓国企業は21位のサムスンのみで、中国はゼロ。全57業種別のランキングでも、日本企業がトップ3に入ったのは、「鉄鋼業」で2位の新日鐵住金と、「商社」カテゴリー2位の三菱商事だけです。

この結果を見て、「しょせんはアメリカのメディアによる企業イメージ調査だから、アメリカ企業が上位を占めるのは当たり前」と斜に構えることもできますが、それでも、『Fortune』ブランドを掲げた「世界で最も尊敬される企業」ランキングは、それなりのパブリシティ効果を持ちますし、少なくとも『Fortune』読者の頭の中で「ジャパンパッシング」現象を助長する懸念があります。

ニッポンブランドの評価はなぜ低い?

たまたまここで紹介した2つのランキングに限らず、ほかのブランドイメージ調査でも日本企業のポジションは年々下がっています。これは、日本企業の実力や業績が低下しているというよりも、グローバルコミュニティでの日本企業の情報や存在感が薄れていることの証左だと思います。日本には、魅力的な企業哲学や革新的なR&D、先端テクノロジー、高品質の製品やサービスを提供する企業が星の数ほどあるにもかかわらず、その事実が世界に認知されていないケースがあまりにも多いのが残念です。

たとえば、2012年のアメリカにおける特許獲得数をみると、1位IBM(6478件)、2位サムスン(5081件)、3位キヤノン(3174件)、4位ソニー(3032件)、5位パナソニック(2769件)と日本メーカーがちゃんと上位に来ています。しかもトップ25社中11社が日本企業です。ところが、こうした事実が「世界のスマート企業」といった評価に結び付いていないのです。コトバができなかったり、ブランドストーリーの創造力やプレゼンテーション力に乏しかったりといった、ニッポンブランドの弱点が露呈している気がします。

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