みずほ証券の控訴で泥沼化、東証を悩ます巨額賠償

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みずほ証券の控訴で泥沼化、東証を悩ます巨額賠償

みずほ証券の思わぬ“抵抗”で、東京証券取引所は重苦しいムードを抱えて越年した。「世界最高水準」を自負し、1月4日の大発会から稼働させる高速取引システム「アローヘッド」でも、心機一転といきそうにない。

株の誤発注をめぐり、みずほが賠償を求め東証を提訴してから3年余り。ようやく収束するかに見えた争いは、控訴でむしろ泥沼化しそうだ。

「実に残念だ」。昨年12月22日の定例会見で、東証の斉藤惇社長は語気を強め、不満をあらわにした。「証券取引所は、証券業者が作ったもの。みずほも当社の株主で、取引所が栄えることを期待しているはずだ。それなのに、自分が間違い(株の誤発注)を犯して損したからと言って『カネよこせ』と。そんなことは世界中どこにもない」。

実際、取引所と証券会社が裁判で争うのは前代未聞といわれる。12月4日、東京地方裁判所の判決を受け、東証は控訴を見送り、賠償金107億円(別途に金利分など)の支払いに応じる意向を示す。内容に不満があるとはいえ、自らが先に矛を収めれば、相手も同調すると踏んでいた。

しかし、現実は逆。みずほは判決を不服として18日に控訴を表明。被告の東証も、対抗上、控訴(附帯控訴)へ転じざるをえない事態に追い込まれた。

地裁が認定した過失

誤発注事件が起きたのは2005年12月8日。みずほが東証マザーズに新規上場したジェイコム株の委託注文を執行する際、「1株61万円」の売り注文を、誤って「61万株1円」と入力。結果、407億円もの売却損が発生する。

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