ジム・ロジャーズ「日本は20年後、必ず没落する」 21年東京五輪の心配をする暇などないはずだ

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ロジャーズ氏は「日本人は2021年に東京五輪が開かれるかどうかを心配するよりも、その後の債務を心配すべきだ」と言う(写真:Luxpho (Takao Hara))

ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。前回の「アマゾン株は必ず暴落する」に続き、『ジム・ロジャーズ 大予測:激動する世界の見方(東洋経済新報社)』から、天才投資家の日本経済に対する長期的な展望をお伝えします。

日本人は「将来の問題」から目を背けすぎている

『ジム・ロジャーズ 大予測: 激変する世界の見方 』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。Kindle版はこちら。Rakutenブックスはこちら

「1968年に世界第2位の経済大国となった日本は、50年以上の長きにわたって繁栄してきた。第2次世界大戦、いやその前から大変な問題を何度も乗り越えてきた。しかし、現在、直面している重大な問題に対して、目を背けすぎだ。日本の借金は日々膨れ上がっている一方で、人口は減り続けている。出生数も大きく減少していて、数年先はともかく20〜30年後には大変な状況になる。人口推計はあらゆる将来予測の中で、もっとも精度が高い予測と言える」

今回、日本政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、現金10万円の一律給付など事業規模117兆円の緊急経済対策を決定しました。しかし、諸外国と比べると対応の遅さが目立ちました。東京都は裕福かもしれませんが、国としてはすでに巨額の債務を抱えおり、財政的な事情が決断を遅らせた理由の一つになったのでははないかとも推測されます。

一方、新型コロナの対策を早期から大規模に行ったシンガポールなどは財政黒字です。もちろん理由は一つだけではありませんが、日頃の「貯金」があったればこそ、今回の有事にも迅速に対応できたのだと思います。

今後、東京都などの緊急事態宣言が解除されたとしても経済活動はすぐに以前の状態には戻らず、自粛トレンドは1年2年と続く可能性があります。この「ニューノーマル」の状態では、債務が少なく、資産が多い方が当然有利です。もし国民に引き続き自粛を要請するなら、当然のこととして追加の経済対策を考える必要性も出て来そうです

しかし、借金は無限にできるわけではありません。これ以上債務を増やし続けると日本国債の格付けにも影響を与える可能性もあります。

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