日本の企業信用トレンドは安定化《ムーディーズの業界分析》

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 一方、日本の事業会社の格付け見通しは、日本以外のアジア太平洋地域での改善傾向には追いついていない。これは、国内消費需要の弱さや円高が、輸出主体のメーカーのコスト競争力を圧迫しているためである。格付け対象の日本企業で格付け見通しがネガティブとなっている割合は、09年第2四半期の40%から第3四半期には36%へと低下した。しかし、他のアジア地域とは異なり、ポジティブな格付けアクションがなく、ネガティブの格付けアクションの割合が減少した理由は、主に格下げ方向での見直しが終了し、低い格付け水準で安定的の見通しが増加したことにある。全般的にネガティブな格付け見通しは、これまでの収益性改善が、主にコスト削減、次いで事業構造改革を通じて達成されたため、今後の持続的な改善に対して不透明性があることを反映している。

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アジアの他の地域と異なり、日本では第3四半期に格付け対象のデフォルトは発生しなかった。これには、日本での格付け対象の大部分が投資適格等級であることや、低い格付け水準の会社に対する銀行や政府による強固な支援が背景となっている。

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