ウーバーイーツの人を街でやたらと見かける訳 身分弱いが自由な時間に働け「雇用の受け皿」に

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新型コロナウイルスの感染者が増加する中、ウーバーイーツ配達員のように生活インフラを維持するために欠かせない仕事に従事している人々のことを、昨今、世界的に「エッセンシャル・ワーカー」と呼ぶようになっています。外出の自粛やロックダウンが相次ぐ中、医療従事者、公共交通機関職員、スーパーやドラッグストアの店員、配達員といった仕事の担い手は、われわれの社会生活維持に「必要不可欠(=エッセンシャル/Essential)」な仕事の担い手として、その重要性が再認識されているのです。

有効求人倍率、3年半ぶりの低水準

全体の雇用市場は大きく悪化しています。一定期間(通常2カ月)内の求人数に対し、どれぐらい求職者がいるかを示す有効求人倍率は、2020年3月度で1.39倍(厚生労働省調べ)。有効求人倍率が1.4倍を下回ったのは2016年9月以来3年半ぶりのことです。

さらに最新の求人動向をつかむために、筆者が主宰するツナグ働き方研究所では、アルバイトの主要求人情報媒体に掲載された求人広告件数を分析してみました。人材関連のビッグデータを収集するゴーリスト社のデータをもとに計算すると、5月(第2週の月曜日)の全国のアルバイト求人広告件数は3月(同)比52.6%減。なんと半減していました。季節性から3月から5月にかけて求人広告件数は数%減るのが通例ですが、例年とはまるで比べものになりません。

東京の求人を職業別にみると「パチンコ・スロット」が97.4%と壊滅的に減少し、「ホテル・旅館・ブライダル」(85.4%減)や「飲食・フード」(67.4%減)も落ち込みが目立ちます。外出自粛や在宅勤務の推奨、店舗への営業時間縮小や休業要請などにより、商店や飲食店は次々と休業し、キャッシュの貯えが少ない企業は厳しい局面にさらされています。これにより非正規労働者の採用意欲が激減しているのは、上記のデータを見ても明らかです。

一方で、コロナの打撃を被り仕事がなくなった業界から、ライフラインを守るため人手が必要になっている業界へと、労働者が移動できれば、それにこしたことはありません。積極的な求人に応募が集まり、収入減に困窮する人にとっての「雇用の受け皿」となっているエッセンシャル・ワーカーの1つが、ウーバーイーツの配達員などの宅配サービス業界です。

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