ホンダ、中国の回復本格化でも拭えない不安 収益柱のアメリカが持ち直すのは夏以降か

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一方、中国以外の地域は依然として回復が見通せない。ホンダの世界全工場のうち、5月12日現在で4輪は7割、2輪は5割の工場しか再開できていない。

アメリカとカナダにある4輪工場は5月11日に操業を再開したが、両国の完成車工場はメキシコからの部品供給に依存している。メキシコの自動車関連企業は近日中にも稼働が認められる予定で、北米全体で需要と部品供給の回復動向を見ながらの低稼働が当面は続く見込みだ。

アメリカの感染拡大のペースには陰りが見えつつあるも、「非常に厳しい販売状況が続いている」(倉石副社長)。現地における4月の販売実績は前年同月比54%減の5万7000台で、3月の48%減よりさらに悪化。とくにホンダの販売が強いアメリカ東海岸でコロナ感染が深刻化したのが痛手だった。

北米で5割超の利益を稼ぐ

北米は収益面でもホンダ全体の営業利益の5割弱を稼ぐ最重要地域。ホンダは新型コロナ以降、ローン支払いの先延ばしや金利の優遇などを打ち出して少しでも販売台数を持ち上げようと躍起だ。

2020年3月期にも販売店支援のために、値引き原資となる販売奨励金(インセンティブ)増による引当金300億円を計上した。販売低迷が長期化すれば、追加の販売関連費用が発生し、今期の収益をさらに圧迫する可能性もある。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

そんな中、光明も見えつつある。これまで自動車販売店の営業を認めている州もあったが、東海岸の州では外出制限によって大半の店舗が営業できなかった。最近になって徐々に営業を再開する販売店が増えているという。

倉石副社長は「全国レベルで販売が正常化するのは夏ごろを想定している」というが、いかに早期に販売を回復軌道に乗せられるかが今期業績のカギを握る。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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