武富士に巨額損失!メリルの「責任」とは

武富士・巨額損失の真実

武富士に巨額損失!メリルの「責任」とは

直ちにトリガーを引くかどうか--。2月下旬、メリルリンチ日本証券と武富士との間で緊張感が高まったことは容易に想像がつく。2007年5月に武富士がメリルをアレンジャーに行った仕組み取引に、巨額の損失が発生。そこで、メリルが「財務制限条項への抵触」を理由に、取引解消のトリガーを引くことを武富士に通告してきたのだ。となれば、武富士が拠出した元本300億円は、ほとんどが失われる。武富士は突然の通告に戸惑ったに違いない。が、メリルの態度は変わらず、武富士は3日、取引解消で損失発生の可能性が高まったとの発表に追い込まれた。

社債オフバランス策で巨額損失が出た背景

メリルの提案を受け、武富士が昨年行ったのは「ディフィーザンス」(債務の実質返済)と呼ばれるバランスシートのスリム化策だ。02年6月に発行した15年物社債(表面利率4%)を期限前償還せずにバランスシートから落とすため、発行額と同額(300億円)の信託設定を行い、社債の表面利率と同額以上の信託配当を捻出できるようにする。結果として、負債と資産を相殺、オフバランスできるというわけだ。

武富士側が得られるメリットは、社債を期限前償還したのに等しい金利負担軽減と、資産効率化である。それ以上のリターンが得られるわけではない。にもかかわらず、純利益の大半が吹き飛ばされるような巨額の損失を被ったのはなぜなのか。

最新のデリバティブ商品などで組成した複雑なスキームの仕組みはこうだ。アイルランドの特別目的会社を経由して武富士拠出の300億円を導入したメリルは、米国のヘッジファンドであるシグマファイナンスが設立したSIV(投資ビークル)発行の担保債券に全額を投資。続いて同債券を担保資産に、クレジット指数で構成する金融商品「CPDO(定率債務証券)」に投資した。CPDOは約束された表面利率と元本をカバーするために投資される新手の金融商品。オプション取引に近いが、メリルが投資した商品のレバレッジは15倍と、価格変動リスクの高いものだった。

5月といえば、まだサブプライム問題に火がつく前夜だった。とはいえ、高いレバレッジの証券化商品には警鐘が鳴らされ始めていた。警告どおり、市場は大混乱を来し、問題のスキームに組み込んだCPDOはレバレッジが逆に働いて損失が拡大した。

これだけなら、傷は浅かった。だが、担保資産たるSIVの担保債券の価値も大幅に減価してしまった。SIVの流動性喪失がその主因である。こうして、このディフィーザンス取引には、サブプライム危機によるダブルパンチが襲った。2月には「元本の10%以下まで時価が下がった場合」という財務制限条項に抵触するほど資産価値は急落した。

取引清算のトリガーが引かれた背景には、このような経緯があったわけだが、随分と荒っぽい話ではある。

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