コンテンツはAKBのように"顔"で売るべし ディズニーとニコニコが組むと、こうなった(3)

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――川上さんは、これからのコンテンツは「顔で売っていく」「手売りの時代になる」とおっしゃっている。

川上 モノってコピーされるじゃないですか。だから、顔が見えるというのはすごく大事だと思っています。ニコニコ動画で楽曲を作ってコンテンツを配信している人がいて、ニコ動で有名なんですけど、ニコ動に無料のコンテンツを配信しているのに、ユーザーはコミケ(コミックマーケット)でその人のCDやパッケージ作品を買うんです。要するにファングッズとして買っている。

何に対しておカネを払っているんだろう、ということですよね。今の音楽シーンで見たら、誰がパッケージを売っているのかというと、AKB48とジャニーズなわけですよ。コンテンツに対しておカネを払っているのかというと、怪しい。ロイヤリティや、アーティストに対する愛情だったり、敬意だったり、そういったものに対しておカネを払っていくようになっている。

そうすると、これまで以上にクリエイターの顔が見えることが重要だし、そういう人たちがファンとダイレクトにどうやってつながっていくのか。人の顔が見える。それが重要になっていく。クリエイターじゃなくて、広報担当者でもいいわけです。そこは分業化すれば。

ゴールはディズニー映画にコメントが付くこと

――この取り組みに、どんな将来像を描いていますか。

塚越 日本は映画文化にまだまだ可能性があると思っています。アメリカでは日常生活の中で、映画のことをネタにして話す機会というのは、日本と比べるとふんだんに多い。日本はもっと楽しいことがたくさんある、というのもあるんだけど、映画ネタのコミュニケーションというのは日常生活の中で少ない。これを作っていきたい。

これができると、映画を楽しむ文化がもっと大きくなれる可能性があると思っています。僕はその作品を作る人、配給する人だけれども、新しいアプローチを、できれば一緒に作っていきたいな、と。

川上 やっぱりニコニコってコメントがあってなんぼ、というのがある。それは諸事情によりやってないんですけど、無料で見られるというのはすごいと思うんですよね。1人で見るんじゃなくて、みんなで見る体験を提供するというのが、ニコニコのメリットだと思うので。

実際にそういう映画とかを、ファンだからパッケージは買うんだけど、見るのはニコニコでみんなと見たいという人が多い。何とかニコニコで見るようにならないかなと思ってね。これまでは、ブルーレイ、DVD、スマートフォンなど、デバイスごとの体験だったけど、そうではなくて、コメント付きで見る新しいユーザーの体験を提供するポジションとして、ニコニコが認知されればいいなと。僕らにとっての最終ゴールですよね。

――要は、ニコニコで配信するディズニー映画にコメントが付くということに?

塚越 実現しますよ。画面内で追えるかどうかは別ですが。

川上 多分裏とか、下とか。画面にはかぶさないように(笑)。

塚越 それは、それはね。

川上 さすがにね(笑)。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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