婚活ブームのメリット、デメリット--白河桃子の「誤解された婚活」・婚活ブームを検証する 第3回(全4回)

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 地方都市では「人口減少問題」のために、数年前から婚活(未婚者支援)に取り組んでいた。それ以前から過疎対策として「農村部」の嫁問題などに取り組む結婚相談はあったが、最近の主流は「婚活イベント」「婚活セミナー」が事業の核になっている。

 しかし、自分の地域にそんな制度があっても、知らない人が圧倒的だ。

 地元の婚活を検索しようとすると、「県庁HP→子育て→未婚者支援」という手順になる。「婚活」はほとんどの行政にとって「子育て予算」に組み込まれているからだが、普通の人はほとんどが、この「婚活」の情報までたどり着けない。

 婚活ブームでマスコミに取り上げられることも多くなり、参加者の敷居も低くなった。

●「結婚できない=自分が劣っているせい」ではない

 「結婚できないのは、自分に何か悪いところがあるからだと思っていました。だけど本を読んで、時代や社会の変化のせいもあるとわかりました」

 ある地方都市の30代女性に、そんなことを言われた。

 なぜ「自分が悪い」と思うのか? それは「親世代」の目線も大きい。

 特に団塊世代の親は、出会いからクロージングまでを「システムに乗って」簡単に結婚してきた世代。未婚の子供たちを「普通のことがなぜできないのか?」と責める傾向にあるが、その親世代だって現在の状況なら、半分以上の人が結婚できないと思う。

 「子供さんが独身なのは、恥ずかしいことではありませんよ。みなさんだって、いまの時代なら、結婚できないかもしれませんし」

 親御さんたち向けの講演会では、いつもこう話すようにしている。

 次回、最終回は「これから婚活するあなたへ」。
白河桃子 白河桃子(しらかわ・とうこ)
ジャーナリスト&ライター 東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
「プレジデント」、「シュシュ」、「ジンジャー」、「日経」アソシエオンライン、「日経」新聞サイト、その他婦人公論など多数女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚、晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマで、その膨大な取材量には定評がある。
山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代 』(ディスカヴァー21刊)が19万部のヒットに。「婚活」は2009年度流行語大賞にノミネートされるほど世の中に影響力を持つワードとなり、今日も注目されている。
公式ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/
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